イナゴの種類と生態について解説するとともに、20年以上、生物学学芸員として博物館施設に勤務し、昆虫が専門分野の一つである筆者が、その飼育方法についてご紹介していきます。
イナゴとはどんな生き物?
イナゴ(蝗、稲子、螽)は、直翅目・バッタ亜目・バッタ科(Acrididae)のうち、イナゴ亜科(Oxyinae)などに属する種の総称。狭義にはイナゴ属(Oxya)に属する種の総称。日本では稲を食べる害虫とされると同時に水田から得られる重要なタンパク源として扱われ、多くの地域で食用とされた。
引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/イナゴ
日本産イナゴの分類
日本産のイナゴ類の分類と種類は以下の通りです。
イナゴ亜科 Oxyinae
コイナゴ Oxya hyla intricata
ニンポーイナゴ O. ninpoensis
ハネナガイナゴ O. japonica
チョウセンイナゴ O. manzhurica
タイワンハネナガイナゴ O. chinensis
タイワンコバネイナゴ O. podisma
オガサワライナゴ O. ogasawarensis
コバネイナゴ O. yezoensis
ツチイナゴ亜科 Cyrtacanthacridinae
ツチイナゴ Patanga japonica
セグロイナゴ亜科 Eyprepocnemidinae
セグロイナゴ Shirakiacris shirakii
ヒナバッタ亜科 Gomphocerinae
ナキイナゴ Mongolotettix japonicus
主なイナゴの種類と特徴
ハネナガイナゴ O. japonica
ハネナガイナゴは北海道を除く日本全土(南西諸島含む)〜台湾・中国・東南アジア・インドの温帯〜熱帯地域に広く分布しています。メスの生殖下板に2本の隆起線があることで、近縁種のコバネイナゴと見分けられます。
コバネイナゴ O. yezoensis
コバネイナゴは北海道・本州・四国・九州・沖縄・台湾に分布している東アジアの諸島種で、国内ではもっとも普通に見られる種です。米を含むイネ科を食害するため害虫として扱われます。また、一部地域では佃煮にして食べる習慣もあります。
ツチイナゴ Patanga japonica
ツチイナゴは北海道を除く日本全土・沖縄・台湾〜インドにかけて分布しており、クズやカナムグラの生い茂った草むらに生息しています。日本産バッタ類としては珍しく、成虫で越冬します。
セグロイナゴ Shirakiacris shirakii
セグロイナゴはイネ科植物を中心としたやや肉食傾向もある雑食性イナゴです。かつては普通種でしたが、現在は生息数が激減しており絶滅が危惧されています。
ナキイナゴ Mongolotettix japonicus
ナキイナゴは北海道と本州の山間部に分布しており、イネ科植物を餌にしています。翅と後脚を擦り合わせて「ジャジャジャジャ」と音を出すため、鳴きイナゴという和名がついています。
イナゴの成虫の飼い方
イナゴは単子葉植物(主にイネ科)の葉を食べます。このため、背の高い飼育ケースを用意し、そこに鉢植えにしたイネ科植物を入れておくと飼育することができます。イナゴの繁殖と幼虫飼育
イナゴは土中に卵嚢に包まれた卵を産みつけます。このため、飼育ケースには10cmほど昆虫マットを敷いておきます。昆虫の飼い方図鑑の一覧はこちら
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