甲殻類の分類を一覧でご紹介するとともに、種類ごとの特徴やユニークな生き物を生物学学芸員の筆者がご紹介します。
甲殻類とはどんな生き物?
甲殻類(こうかくるい、Crustacean、学名:Crustacea)は、節足動物を大まかに分ける分類群の一つ。分類学上は甲殻亜門(こうかくあもん)とされる。エビ、カニ、オキアミ、フジツボ、ミジンコなどが含まれる。およそ7万種が記載され、深海から海岸、河川、湿地まで、あらゆる水環境に分布するが、主に海で多様化している。陸上の生活に完全に適応しているのはワラジムシ類とダンゴムシ類など僅かである。
甲殻類の節足動物門における位置づけ
画像引用:https://ameblo.jp/oldworld/entry-10464801332.html
甲殻類の属する節足動物門は、大きくは鋏角亜門(クモ・サソリ・カブトガニなど)・多足亜門(ムカデ・ヤスデなど)・甲殻亜門(エビカニ・フジツボ・ミジンコなど)・六脚亜門(昆虫、トビムシなど)の4つのグループに分けられます。
甲殻類はそのなかでも陸上に進出した昆虫類とならび高度に進化したグループで、その多様性は「陸上の昆虫類」と「水中の甲殻類」とされるほど繫栄しています。
節足動物(せっそくどうぶつ、英: Arthropod、学名:Arthropoda)とは、昆虫類・甲殻類・クモ類・ムカデ類など、外骨格と関節を持つ動物を含んだ分類群。分類学上は節足動物門とされる。動物界最大かつ多様性の最も高い動物門であり、現生種は全動物種の85%以上を占め、約110万種が記載される。
甲殻類には主に以下のような種類が含まれます。
貝形虫綱 Ostracoda
貝形虫綱は、貝虫(かいむし)類と呼ばれる甲殻類の中でも古いタイプのグループです。二枚貝のような殻で覆われているのが特徴で、淡水産のカイミジンコや海水産のウミホタルがこの仲間に含まれます。
ウオヤドリエビ綱 Ichthyostraca
ウオヤドリエビ綱は、その名のとおり魚類などに寄生する原始的な甲殻類の一群で、観賞魚の害虫として知られる「チョウ」などが含まれます。
六幼生綱 Hexanauplia
カイアシ亜綱 Copepoda
カイアシ類はケンミジンコやコペポーダとも呼ばれる小型甲殻類の一群で、底生・浮遊性のものまでさまざまですが、海水水域・淡水水域を問わず食物連鎖の底辺を構成する重要グループです。
鞘甲亜綱 Thecostraca
鞘甲亜綱はフジツボ・エボシガイ・カメノテ・フクロムシ・シダムシなど成体が固着性の一群です。成体に成長するまでにはノープリウス幼生期とキプリス幼生期があり、ノープリウス幼生期は前述のカイアシ類に近い形状をしており遊泳性があります。
ノープリウス幼生の一例:画像引用「Wikipedia|ノープリウス」
軟甲綱 Malacostraca
口脚目 Stomatopoda
口脚類は原始的な軟甲類の一群で、シャコ目と呼ばれるようにシャコの仲間を中心とした分類群です。形態的には十脚目のエビ類に似ていますが、シャコ類が顎脚5対と胸脚・歩脚3対なのに対し、エビ類は顎脚3対および胸脚・歩脚5対など形状が異なります。
シャコ類とエビ類の形態の違い:引用「Wikipedia|シャコ目」
アミ目 Mysida
アミ目はイサザアミに代表される、遊泳性の小型甲殻類の一群で、海水~汽水にかけて生息し、その生物量の多さから主に小型魚類の餌生物として生態系で重要な役割を果たしています。主に植物プランクトンを食べています。
等脚目 Isopoda
等脚目はイソポーダとも呼ばれる甲殻類のなかでも大きなグループで、甲殻類としては珍しくフナムシ・ワラジムシ・ダンゴムシなど陸上に進出した一群も含んでいます。また、一方で深海にも適応しておりダイオウグソクムシなど大型のものも知られています。
世界最大の等脚類「ダイオウグソクムシ|https://ja.wikipedia.org/wiki/ダイオウグソクムシ」
端脚目 Amphipoda
端脚類は底生小型甲殻類であるヨコエビ類を中心とした一群で、海水域を主体に一部淡水域にも分布しています。デトリタス(沈降性の有機物)を食べる「分解者」として生物界で大きな役割を果たしています。また、海藻類の表面で生活するワレカラもこの仲間に含まれます。
十脚目 Decapoda
十脚目は、甲殻類のなかでももっとも繁栄しているグループで、エビ・カニ・ヤドカリ類から構成されています。海水域はもちろん、淡水域のみならず陸上にも進出しています。
▼淡水産十脚目の飼育方法
アカテガニ・アシハラガニ・アメリカザリガニ・オカヤドカリ・カクベンケイガニ・クロベンケイガニ・サワガニ・スジエビテナガエビ・テナガエビ・ヌマエビ・ハマガニ・ベンケイガニ・ヤシガニ
鰓脚綱 Branchiopoda
鰓脚類は主に陸水域を中心に分布している小型甲殻類の一群で、ミジンコのほかホウネンエビ・カブトエビ・ブラインシュリンプなどが含まれます。
▼関連記事
カシラエビ綱 Cephalocarida
カシラエビ類は、わずか十数種類のみが知られる小さなグループで、潮間帯から深海域にかけての海底に広く分布しています。
ムカデエビ綱 Remipedia
ムカデエビは海底洞窟にのみ生息する非常にマイナーな一群で、古い形質の甲殻類の形質を残したまま現存する「生きた化石」とも言えるグループです。
世界でもカリブ海・カナリア諸島・西オーストラリアの三か所でしか発見されていません。
関連記事
【巨大甲殻類大集合】エビ・カニ・ザリガニ・ヤドカリなど世界一が全部集合
▼食用甲殻類のカロリー・栄養素
アマエビ・イシガニ・ウチワエビ・ガザミ・カメノテ・クマエビ・クルマエビ・ケガニ・コウライエビ・サクラエビ・シャコ・シャンハイガニ・ズワイガニ・タカアシガニ・タラバガニ・ノコギリガザミ・バナメイエビ・フジツボ・ロブスター・ワタリガニ
動植物の種類図鑑の一覧ページ
プランクトンから巨大生物・古代生物から現生種まで様々な動植物の種類図鑑はこちら