柔術に必要な筋肉とその部位別の筋トレメニュー(アウターマッスル)と体幹トレーニング(インナーマッスル)の方法を解説します。
柔術に必要な筋肉部位
まず、柔術の競技能力の基本となるのはパワーの源となる下半身の筋肉です。下半身の筋肉には脚自体を動かす股関節周辺インナーマッスルと膝関節の動作に作用する表層筋(アウターマッスル)があります。次に大切となるのが投げ技に必要不可欠な上半身と下半身を連動させる体幹インナーマッスルで、このほかに肩関節周辺インナーマッスルや肩関節および肘関節周辺のアウターマッスルなど、ほぼ全身の筋肉が必要となります。
全ての動作の基本:股関節インナーマッスル
投げ技に重要:体幹インナーマッスル
引きつけに重要:肩関節インナーマッスル・背中・腕の筋肉
固め技に重要:股関節インナーマッスル・肩関節インナーマッスル・体幹インナーマッスル・背中・胸・肩・腕の筋肉
それは次の通りです。
股関節インナーマッスル
腸腰筋群・内転筋群・臀筋群
体幹インナーマッスル
腹筋群・脊柱起立筋
肩関節インナーマッスル
回旋筋腱板
脚に関する筋肉
大腿四頭筋・ハムストリングス
腕に関するの筋肉
大胸筋・広背筋・僧帽筋・三角筋・上腕三頭筋・上腕二頭筋
股関節を屈曲させる(脚を前に上げる)筋肉
脚自体を前に持ち上げる(屈曲させる)動作の主となる筋肉が、股関節インナーマッスルである腸腰筋群(Iliopsoas)です。
腸腰筋群は大腰筋・小腰筋・腸骨筋の三つの筋肉から構成され、股関節の屈曲(脚を上げる)作用があります。また、股関節の外旋にもわずかながら関与しています。
腸腰筋(ちょうようきん)は腰椎と大腿骨を結ぶ筋肉群の総称。腸骨筋と大腰筋が関連している。内臓と脊椎の間にあり、深部腹筋群とも総称され見えない筋肉の一つ。主に股関節を屈曲させる働きをする。
脊柱を前屈させる筋でもあるため「深腹筋」と呼ばれることもあり(とくにスポーツ選手やトレーナの間でよく用いられる)運動に非常に重要な働きをしている。
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前述のとおり、腸腰筋群は股関節屈曲(脚を上げる)の作用があるため、この能力が要求されるスポーツでは非常に重要なインナーマッスルです。また、日常での歩行能力にも大きく関わるので、そのトレーニングは健康作り運動としても盛んです。
具体的には、レッグレイズ系の足上げ運動種目で鍛えられます。
また腸腰筋群は、股関節伸展を作用とするハムストリングス(大腿二頭筋・半腱様筋・半膜様筋)の拮抗筋にあたるため、フロントランジ系トレーニングやブルガリアンスクワットなど、ハムストリングストレーニング種目におけるネガティブ動作(負荷に耐えながらしゃがむ動き)のなかでも鍛えることが可能です。
股関節を伸展させる(脚を後ろに上げる)筋肉
脚を後ろに上げる(股関節を伸展させる)作用を持つのが、臀筋(Gluteal muscles)です。
臀筋は、主に大臀筋・中臀筋・小臀筋の三層構造から構成されており、これに腸骨に接合する大腿筋膜張筋を加えた4つの筋肉を総称したものです。
それぞれの筋肉の持つ作用は以下のとおりです。
大臀筋:股関節伸展・股関節外旋・股関節外転・股関節内転
中臀筋:股関節外転・股関節内旋・股関節外旋
小臀筋:股関節外転・股関節内旋・股関節外旋
大腿筋膜張筋:股関節屈曲・膝関節伸展
臀筋(でんきん)とは、臀部に存在する筋肉の総称である。
構成する筋肉
大臀筋
中臀筋
小臀筋
大腿筋膜張筋
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臀筋のトレーニングは、主に最大の体積を持つ表層筋である大臀筋に対して実施され、股関節伸展(脚を後方に上げる)の動作をともなうトレーニング種目で鍛えられます。
臀筋が関与するトレーニング種目は以下の通りです。
股関節を内転させる(脚を閉じる)筋肉
内転筋群(Adductors muscles)は大内転筋・長内転筋・短内転筋・薄筋・恥骨筋の5つの筋肉から構成されており、なかでも筋力の強い大内転筋が主なトレーニング対象となります。
長内転筋は大腿部を内転させる作用と股関節を屈曲させる作用を併せ持っています。
短内転筋は、股関節の内転と股関節屈曲の補助をする作用があります。
大内転筋は股関節を内転させる作用があります。
大内転筋は股関節内転(脚を閉じる動き)の作用を主としながら、股関節屈曲にも関わり、腸腰筋群と共働関係にあります。
大内転筋(だいないてんきん、adductor magnus muscle)は人間の恥骨の筋肉で股関節の内転、屈曲を行う。
内転筋群は脚を閉じる(内転動作)を含むワイドスクワット系種目、サイドランジ系種目、アダクション系種目で鍛えられます。
トレーニング方法としては大きく分けて二通りあり、大きく股関節を開いて動作をするワイドスタンススクワットや四股、もう一つは脚を閉じる運動があり、アダクション等を使用する。
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内転筋群のトレーニング解説は下記のリンク先をご参照ください。
回旋筋腱板の構造・作用
英語名称:Rotator cuff
回旋筋腱板(かいせんきんけんばん Rotator cuff)は肩甲骨の前面と後面からおこる4つの筋、すなわち肩甲下筋、棘上筋、棘下筋、小円筋の腱のことをいう。回旋腱板または、英語のカタカナ表記でローテーター・カフともいう。
上腕骨頭をかかえ込んで肩関節を安定させるはたらきがある。そのため腕を使う運動には全て密接に関係しており、このローテーターカフをうまく連動させて使えるかどうかによって運動の効率が全く変わってしまう。
これら4つの筋肉のうち、棘上筋・棘下筋・小円筋の3つは肩甲骨の背面側に位置しており、上腕を後方へ回旋運動させる作用があります。
また、肩甲下筋は肩甲骨前面に位置しており、棘上筋・棘下筋・小円筋と逆の作用を持ち、腕を前方に回旋運動させる作用があります。
回旋筋腱板のトレーニング方法
棘上筋・棘下筋・小円筋の鍛え方
棘上筋・棘下筋・小円筋はダンベルエクスターナルローテーションと呼ばれる種目で鍛えることができます。
具体的には、ダンベル持って横になり身体の前面から側方へ後方の回旋運動を行いながら鍛えていきます。
肩甲下筋の鍛え方
肩甲下筋はダンベルインターナルローテーションと呼ばれる種目で鍛えることができます。
具体的には、ダンベル持って横になり身体の側方から前面へ前方の回旋運動を行いながら鍛えていきます。
トレーニングチューブを使ったトレーニング方法
エクスターナルローテーションとインターナルローテーションはトレーニングチューブを使って行うことも可能で、この方法だと立って(または座って)行うことができるため取り組みやすいのが特徴です。
使いやすいトレーニングチューブセット
強度の違う複数のトレーニングチューブがセットになったタイプで、現在の主流です。ドアにはさんで固定するアタッチメント、バーにはめられるループアタッチメントが付属しており固定が容易で、またグリップがあるため保持性にも優れています。
トレーニングチューブセットの実際の使用方法や使用感については下記の記事で解説しています。
また、当サイト協賛企業様のMazurenkoJapanでは大型カラビナフックが特徴の各種ケーブルアタッチメントも装着可能なトレーニングチューブを取り扱っています。
ハムストリングスの鍛え方
ハムストリングスは大腿二頭筋・半腱様筋・半膜様筋の3つの筋肉から構成される筋肉群で、膝関節屈曲の作用を持ちます。また、股関節伸展においても、臀筋と協働して作用するため、泳ぐための大腿部の筋肉としては大腿四頭筋よりも重要視されています。
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ハムストリングスが関与するトレーニング種目は以下の通りです。
大腿四頭筋の鍛え方
大腿四頭筋は大腿直筋・外側広筋・内側広筋・中間広筋から構成され、膝関節伸展の作用を持ちます。
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大腿四頭筋を鍛えるためのトレーニング種目は以下の通りです。
▼大腿四頭筋のトレーニング種目
広背筋の鍛え方
広背筋は背面側部に広がる大きな筋肉で、上腕を上や前から引き寄せる作用があります。僧帽筋や脊柱起立筋と協働関係にあります。
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なお、広背筋および僧帽筋のトレーニング種目には以下のようなものがあります。
▼広背筋のトレーニング種目
大胸筋の鍛え方
大胸筋は胸腕筋に属する体幹上部前面に位置する筋肉で、肩関節の水平内転・屈曲・内転・内旋の作用を持ちます。
筋力トレーニングの動作としては、主に腕を前に押し出し閉じる働きがあります。また、上部・内側・下部に部位わけされます。
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なお、大胸筋のトレーニング種目には以下のようなものがあります。
▼大胸筋のトレーニング種目
三角筋の鍛え方
三角筋は上肢帯筋に属する上腕最上部に位置する筋肉で、肩関節の外転・屈曲・伸展の作用を持ちます。
筋力トレーニングの動作としては、腕を上・前・横・後ろに持ち上げる働きがあります。また、前部・中部・後部に部位分けされます。
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なお、三角筋のトレーニング種目には以下のようなものがあります。
▼三角筋のトレーニング種目
上腕三頭筋の筋トレ種目
上腕三頭筋は上腕伸筋群に属する上腕背面に位置する筋肉で、前腕伸展・上腕内転の作用を持ちます。
筋力トレーニングの動作としては、肘を伸ばす・脇を閉じる働きがあります。また、長頭・短頭(内側頭・外側頭)に部位分けされます。
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なお、上腕三頭筋のトレーニング種目には以下のようなものがあります。
▼上腕三頭筋のトレーニング種目
上腕二頭筋の鍛え方
上腕二頭筋は上腕屈筋群に属する上腕前面に位置する筋肉で、前腕屈曲と回外の作用を持ちます。
筋力トレーニングとしては肘を曲げる・前腕を捻る働きをします。また、長頭と短頭に部位わけされます。
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なお、上腕二頭筋のトレーニング種目には以下のようなものがあります。
▼上腕二頭筋のトレーニング種目
具体的な週3回の部位分割トレーニング例(自宅)
①週1回目のトレーニング(上半身の押す作用の筋肉+体幹の前側の筋肉)
①押す筋肉全体のメニュー:腕立て伏せ(膝つき腕立て伏せ)またはチューブチェストプレスまたはダンベルプレスを2~3セット
②大胸筋のメニュー:チューブチェストフライ(チューブプルオーバー)またはダンベルフライ(ダンベルプルオーバー)を2~3セット
③三角筋のメニュー:パイクプッシュアップまたはチューブショルダープレス(チューブアップライトロー)またはダンベルショルダープレス(ダンベルアップライトロー)を2~3セット
④上腕三頭筋のメニュー:ナロープッシュアップ(ベンチディップス)またはチューブフレンチプレス(チューブプレスダウン)またはダンベルフレンチプレス(ダンベルキックバック)を2~3セット
⑤腹筋群のメニュー:クランチ(クランチツイスト)またはチューブクランチまたはダンベルクランチ(ダンベルサイドベント)を1~2セット
⑥腸腰筋群のメニュー:レッグレイズまたはチューブレッグレイズまたはダンベルレッグレイズを1~2セット
②週2回目のトレーニング(下半身の筋肉)
①下半身全体のメニュー:自重スクワットまたはチューブスクワット(チューブレッグプレス)またはダンベルスクワットを2~3セット
②大腿四頭筋のメニュー:シシースクワットまたはチューブレッグエクステンションまたはダンベルレッグエクステンションを2~3セット
③ハムストリングスのメニュー:ブルガリアンスクワット(フロントランジ)またはチューブレッグカール(チューブスティッフレッグドデッドリフト)またはダンベルフロントランジ(ダンベルレッグカール)を2~3セット
④内転筋群のメニュー:ワイドスクワット(サイドランジ)またはチューブワイドスクワット(チューブアダクション)またはダンベルワイドスクワット(ダンベルサイドランジ)を2~3セット
③週3回目のトレーニング(上半身の引く作用の筋肉+体幹の後側の筋肉)
①引く筋肉全体のメニュー:懸垂(斜め懸垂)またはチューブデッドリフトまたはダンベルデッドリフトを2~3セット
②広背筋のメニュー:チューブラットプル(チューブローイング)またはダンベルローイングを2~3セット
③僧帽筋のメニュー:パラレル懸垂またはチューブショルダーシュラッグ(チューブリバースフライ)またはダンベルショルダーシュラッグを2~3セット
④上腕二頭筋のメニュー:逆手懸垂またはチューブカール(チューブハンマーカール)またはダンベルカールを2~3セット
⑤脊柱起立筋のメニュー:バックエクステンション(ヒップレイズ)またはチューブグッドモーニングを2~3セット
具体的な週3回の部位分割トレーニング例(ジム)
①週1回目のトレーニング(上半身の押す作用の筋肉+体幹の前側の筋肉)
①押す筋肉全体のメニュー:マシンチェストプレス(スミスマシンベンチプレス)またはバーベルベンチプレスを2~3セット
②大胸筋のメニュー:マシンチェストフライ(ケーブルフライ)またはバーベルインクラインベンチプレス(バーベルデクラインベンチプレス)を2~3セット
③三角筋のメニュー:マシンショルダープレス(ケーブルアップライトロー)またはバーベルショルダープレス(バーベルアップライトロー)を2~3セット
④上腕三頭筋のメニュー:マシンディップス(ケーブルプレスダウン)またはバーベルナローベンチプレス(バーベルフレンチプレス)を2~3セット
⑤腹筋群・腸腰筋群のメニュー:ケーブルクランチを2~3セット
②週2回目のトレーニング(下半身の筋肉)
①下半身全体のメニュー:マシンレッグプレス(スミスマシンスクワット)またはバーベルスクワットを2~3セット
②大腿四頭筋のメニュー:ハックスクワット(マシンレッグエクステンション)またはバーベルフロントスクワットを2~3セット
③ハムストリングスのメニュー:マシンレッグカールまたはバーベルフロントランジ(バーベルスティッフレッグドデッドリフト)を2~3セット
④内転筋群のメニュー:マシンアダクション(ケーブルアダクション)またはバーベルサイドランジを2~3セット
③週3回目のトレーニング(上半身の引く作用の筋肉+体幹の後側の筋肉)
①引く筋肉全体のメニュー:Tバーローイング(スミスマシンデッドリフト)またはバーベルデッドリフトを2~3セット
②広背筋のメニュー:ケーブルラットプルダウン(ケーブルローイング)またはバーベルベントオーバーロウを2~3セット
③僧帽筋のメニュー:ケーブルショルダーシュラッグまたはバーベルショルダーシュラッグを2~3セット
④上腕二頭筋のメニュー:マシンカール(ケーブルカール)またはバーベルカール(バーベルEZバーカール)を2~3セット
⑤脊柱起立筋のメニュー:スミスマシングッドモーニングまたはバーベルグッドモーニングを2~3セット
筋力トレーニングと食事の基礎知識
筋力トレーニングを実施したら、そこで満足して終わるのではなく、トレーニング効果を最大限高める食事・栄養摂取をする必要があります。
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