女性のための上腕三頭筋のトレーニング方法を、自宅(自重・ダンベル)、ジム(マシン・バーベル)それぞれから部位別(長頭・短頭|内側頭・外側頭)にわけて解説していきます。
なお、解説種目は女性が取り組みやすい種目を優先して選定しています。
上腕三頭筋の構造と作用
上腕三頭筋は長頭と短頭(内側頭・外側頭)に分けられ、それぞれのトレーニングにおける作用は以下の通りです。
上腕三頭筋長頭:肘関節の伸展と上腕内転
上腕三頭筋短頭:肘関節の伸展
さらに詳しい筋肉の情報
筋肉の名前(読み方)と作用|部位詳細・英語名称・ラテン名・起始停止なども解説
上腕三頭筋を鍛えるメリット
二の腕にハリが出る
上腕三頭筋を鍛えることで、二の腕後ろ側のたるみ感がなくなり、ハリのある二の腕に近づきます。
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筋トレ目的別の重さと回数の決め方
筋力トレーニングの対象となる骨格筋は、筋繊維が束状になって構成されていますが、その筋繊維には大きく「遅筋」と「速筋」があり、速筋は「速筋繊維Ⅱa」と「速筋繊維Ⅱb」に分けられます。それぞれの特性と筋力トレーニングでの負荷設定は以下の通りです。
遅筋(遅筋繊維Ⅰ)
持久的な運動において持続的な遅い収縮(Slow)をし、酸素(Oxygen)を消費することからSO筋とも別称されます。レジスタンストレーニングで鍛えてもほとんど筋肥大しません。陸上競技で例えるなら、長距離走に必要な筋肉です。
筋力トレーニングでは20レップス以上の反復回数で挙上限界がくるような、低負荷設定で鍛えます。
速筋(速筋繊維Ⅱa)
持久要素のある瞬発的な動作において速い収縮(Fast)をし、酸素(Oxygen)を消費することからFO筋とも別称されます。レジスタンストレーニングで鍛えると筋肥大します。陸上競技で例えるなら、400~800m走に必要な筋肉です。
筋力トレーニングでは12~15レップスの反復回数で挙上限界がくるような、中負荷設定で鍛えます。
速筋(速筋繊維Ⅱb)
瞬発的な運動において爆発的な速い収縮(Fast)をし、グリコーゲン(Glycogen)を消費することからFG筋とも別称されます。レジスタンストレーニングで鍛えると強く筋肥大します。陸上競技で例えるなら、100~200m走に必要な筋肉です。
筋力トレーニングでは6~10レップスの反復回数で挙上限界がくるような、高負荷設定で鍛えます。
筋力トレーニングの種類と特性
1.自重トレーニング
自重トレーニングはよく「ウエイトトレーニングではない」と誤解され、そのため「毎日実施してもよい」などと言われますが、正式には”Self Weight Training”、つまりセルフウエイトトレーニングと呼ばれる自身の体重を負荷ウエイトに使うウエイトトレーニングの一種です。このため、他のウエイトトレーニングに準じ、超回復理論にのっとりプログラムを組んでいく必要があります。
なお、自重トレーニングは筋力トレーニングに初めて取り組む方にとっては手軽で、トレーニング入門には適切な方法ですが、ダンベルやバーベルを使ったフリーウエイトトレーニングほどの高負荷トレーニングは不可能ですので、本格的に身体作りを行いたい場合は、やはりフリーウエイトトレーニングを習得・実施していく必要があります。
2.チューブトレーニング
チューブトレーニングはダンベルトレーニングに比べて器具がかさばらず、高負荷トレーニングの必要性が少ない女性の筋力トレーニング方法として有効です。また、自重トレーニングの負荷追加や仕上げにトレーニングとしても有効です。
3.ダンベルトレーニング
ダンベルトレーニングは、フリーウエイトトレーニングの入門として自宅で行うこともできる方法です。複数の関節と筋肉を同時に動かす「複合関節運動|コンパウンド種目」しかない自重トレーニングに対し、単一の筋肉だけを集中的に鍛えられる「単関節運動|アイソレーション種目」が豊富なことが特徴です。
このように、ダンベルトレーニングは自重トレーニングから一歩進んだ自宅でのトレーニング方法として有効です。また、筋肉の稼動域が広いのもメリットで、ジムでのマシンやバーベルを使ったトレーニングの仕上げとしても最適です。
なお、ウエイトを片手で保持することから、同じフリーウエイトトレーニングのバーベルトレーニングに比べると高重量を扱えないというデメリットがあります。
4.マシーントレーニング
一般的なケースとして、自宅での自重トレーニング・ダンベルトレーニングを経験し、さらにレベルの高いトレーニングを目指してジムに通うようになった方が、最初に実施するのがマシントレーニングです。
マシントレーニングは動作起動がマシンによって支えられているため、初心者の方でも比較的簡単に高負荷トレーニングを実施できるのがメリットです。しかしながら、反面、動作起動のブレを止めるための体幹インナーマッスルが鍛えにくいというデメリットがあります。
ですので、最終的には高負荷かつ同時にインナーマッスルも強化できるバーベルトレーニングを中心に、補助的にマシントレーニングやダンベルトレーニングを行っていくのが、ジムにおける本格的な筋力トレーニングの在り方です。
5.バーベルトレーニング
全てのウエイトトレーニングの基礎となり、また、もっとも効果の高い筋力トレーニングがバーベルトレーニングです。両手でウエイトを扱うため高重量が扱いやすく、動作起動が完全に自身で制御できるため個人の特性に合わせたトレーニングの実施が可能です。
反面、動作フォームなど技術の習得が必要となり、専門家の指導下で実施することが必要になります。
また、バーベルトレーニングのなかでも「BIG3」と呼ばれるバーベルベンチプレス・バーベルデッドリフト・バーベルスクワットは、この3種目だけ実施していっても十分に全身の筋肉が強化できるとされています。
なお、パワーリフティング競技の3種目は、このバーベルベンチプレス・バーベルデッドリフト・バーベルスクワットの挙上重量によって競われます。
上腕三頭筋の自重トレーニング
ベンチディップス
逆腕立て伏せ(ベンチディップス)は、背面側に手をついて構えることで、上腕三頭筋に負荷を集中させられる腕立て伏せ系の自重トレーニングです。
足を台に乗せて構えることで、さらに負荷を高めることができます。
上腕三頭筋のチューブトレーニング
チューブフレンチプレス
チューブトライセプスエクステンション(チューブフレンチプレス)は上腕三頭筋の基本となる種目です。
肘の位置を動かしてしまうと、負荷が大胸筋や背筋群に分散してしまうので、肘の位置をしっかりと固定して動作を行うことがポイントです。
上腕三頭筋のダンベルトレーニング
ダンベルキックバック
ダンベルキックバックは上腕三頭筋長頭に集中的な負荷を加えられる種目です。肘の位置を動かしてしまうと背筋群に負荷が逃げてしまいますので十分に注意してください。
また、肘を伸ばした位置で少し前腕を回内回旋(手の平が上を向く方向に回す)させると上腕三頭筋長頭が完全収縮して効果が高まります。
ダンベルフレンチプレス
ダンベルフレンチプレスは主に上腕三頭筋短頭に強い負荷を加えられる種目です。肘を閉じ気味にすると内側寄りに、肘を開き気味にすると外側寄りに負荷がかかります。
上腕三頭筋のマシントレーニング
ケーブルトライセプスプレスダウン
ケーブルプレスダウンは上腕三頭の仕上げに適した単関節種目です。
肘の位置を動かすと、負荷が背筋群に分散されますので、肘の位置をしっかりと固定して行ってください。
また、前のめりになって体重をかけると、使用重量の割に効果が低くなります。真っ直ぐに立ち、肘から先だけの動作で行える重量設定をすることが大切です。
ケーブルキックバック
ケーブルキックバックは、上腕三頭筋長頭に集中的な負荷がかけられる種目です。
肘の位置を動かすと、負荷が背筋群に分散されますので、肘の位置をしっかりと固定して行ってください。
上腕三頭筋のバーベルトレーニング
バーベルナローベンチプレス
バーベルナローグリップベンチプレスは、肩幅よりも狭い手幅で行うベンチプレスのバリエーションで、特に上腕三頭筋に対して有効です。
肘を閉じ気味にすると内側寄り(長頭)に、肘を開き気味にすると外側寄り(短頭)に負荷がかかります。
バーベルフレンチプレス
バーベルフレンチプレスは主に上腕三頭筋短頭に強い負荷を加えられる種目です。肘を閉じ気味にすると内側寄りに、肘を開き気味にすると外側寄りに負荷がかかります。
女性の上腕三頭筋トレーニング種目一覧
具体的な筋トレメニュー例
女性のダイエット筋トレの具体的な実施例については下記の記事をご参照ください。
女性のための週三回のダイエット筋トレメニュー例(自宅・ジム別)
ダイエット筋トレの食事メニュー例
ダイエット筋トレのための食事の基礎知識と適切な食事メニュー例は下記の記事をご参照ください。
女性のダイエット筋トレ向き食事メニュー(具体的レシピ例)
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当コーナーでは、ジムトレーナーを職業とするメンバーと生物学の専門知識を持つ博物館学芸員のメンバーが共同で執筆・制作した筋肉の構造・作用および筋力トレーニング各種目の解説記事を公開しています。
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