女性の筋力トレーニングにおいて、トレーニング効率を上げるために特に有効なギア3種類について解説します。これらのギアは、パワーリフティング女子競技選手も日々の筋力トレーニングで活用しており、一般女性の通常トレーニングにおいても有効です。
パワーリフティングは、ウエイトトレーニングの種目の中で、基本的で高重量を扱える種目であるスクワット、ベンチプレス、デッドリフトの3種目の最大挙上重量の総計を競うスポーツである。
レベルが高い選手は、ほぼ全員が「ギア」を着用している。
引用:Wikipedia
※ギア=個人装備品
パワーリフティング競技で使用できるギア類
本記事で解説するトレーニング用品類のなかで、パワーリフティング競技での着用・使用が認められているのがトレーニングベルト(パワーベルト)・リストラップで、パワーグリップやリストストラップなどの握力を補助するギアの使用は認められていません。
また、トレーニングベルト、リストラップ、ニースリーブにはそれぞれ規定が設けられています。
第1条(目的)
この規程は、公益社団法人日本パワーリフティング協会(以下「本協会」という)が公式に認定した国内の競技会(以下「公認大会」という)において使用されるパワーリフティング競技用の器具、個人装具等(以下まとめて「器具類」という)を、本協会として公式に認定するために必要な事項について定めるものである。
第2条(適用範囲)
この規程を適用する器具類は次の各号のとおりとする。
(1)バー、プレート
(2)スクワットラック、ベンチプレス台
(3)リフティングスーツ、ベンチプレスTシャツ、ベルト等の個人装具
女性の筋力トレーニングの効率を高めるギア類
女性の筋力トレーニングにおいて、特にそのトレーニング効率およびパフォーマンスを高めるとされているのが、トレーニングベルト(腰のサポートギア)・パワーグリップ(握力のサポートギア)・リストラップ(手首のサポートギア)です。
これらについて、IPF(世界パワーリフティング協会)公認ギアを製作している専門メーカーの記載もまじえて解説していきます。
トレーニングベルト
女性に限らず、筋力トレーニングの効率と安全性を高めるのがトレーニングベルトです。
トレーニングベルトには物理的な腰のサポートだけでなく、腹圧を高めることにより筋力パフォーマンスを向上させる作用もあることが知られています。
トレーニングベルトを着用する意味
トレーニングベルト(パワーベルト)を着用することで、物理的に腰周りを補強・サポートすることが可能で、競技中や筋力トレーニング中の腰へのダメージリスクを軽減できることが、本ギアを着用・使用する大きな意味の一つです。
トレーニングベルト着用の効果
トレーニングベルトを着用することで得られる効果は次の二点です。
①体幹動作が安定し高重量を扱いやすくなる
②腹圧が上昇し最大筋力が向上する
トレーニングベルトの種類
トレーニングベルトには主に以下の種類があります。
①布・ナイロンベルト
②革製トレーニングベルト
③ピンバックル式パワーベルト
④フックバックル式パワーベルト
⑤レバーアクション式パワーベルト
筋トレ時にトレーニングベルトを巻くことにより、物理的に脊柱起立背筋が補強され腰椎にかかる負荷を軽減することが可能です。とくに、高重量で行う種目や不安定な動作をともなう種目では、一瞬の不注意が腰痛発生につながり、そうなってしまっては、しばらくトレーニングを行うことができなくなってしまいます。腰椎の保護、まずはこのことがトレーニングベルトを使用する第一の意味です。
トレーニングベルトを使用するのには腰椎保護以外にも、まだいくつかの大きな意味があります。まずは、トレーニングベルトを巻くことにより、物理的に体幹が補強されますので身体の芯がブレにくくなります。これにより、動作が安定し、より高重量でトレーニングが行えたり、あと1回、あと2回、といった追い込みも可能になります。つまり、トレーニングの質自体が高まるのです。
また、トレーニングベルトによって強制的に腹部外側を固定することにより、腹囲の膨張を物理的に制限し、結果として腹圧を高めることができます。最大筋力と腹圧の間には密接な関係性があり、腹圧が高いほうが最大筋力は上昇します。つまり、トレーニングベルトを巻くことにより、筋トレのパフォーマンス自体が大幅に向上します。
まとめると、トレーニングベルトを巻くことで、より安全に、より高重量で、よりハイパフォーマンスで、効率的にトレーニングを行うことが可能になるのです。このことが、トレーニングベルトを使用する意味+効果になります。
さらに詳しい、トレーニングベルトの種類ごとの特性などに関しては下記の引用元ページをご参照ください。
パワーグリップ
パワーグリップは握力補助用のギアで主に背中のトレーニング(引く動作)で使用されます。特に女性の場合は使用重量に対して握力が低いケースが少なからずあり、先に握力が尽きてしまって十分に背中の筋肉を追い込めないという問題があります。
この問題を解決するために有効なギアがパワーグリップです。
握力を補助し、プル系トレーニングでの追い込みに有効なのがパワーグリップやリストストラップ類です。
まずは、この写真のように手の平とパワーグリップでシャフトを挟むようにします。
一巻きしてパワーグリップをシャフトに巻きつけます。
そして、しっかりと握りグリップを決めます。
さらに強い補助力が必要な場合には、こちらのようなリストストラップが使用されます。
また、バーベル落下を確実に防げるのがこちらのような八の字タイプのリストストラップです。
さらに詳しくは下記の引用元ページをご参照ください。
※パワーリフティング競技でのパワーグリップ・リストストラップ類の使用は禁止されていますので、通常のトレーニングでの使用となります。
リストラップ
押す動作の筋力トレーニングにおいて、手首周りの筋力を物理的にサポートするギアがリストラップで、使用重量に対して前腕の筋力が弱い傾向にある女性に有効です。
リストラップの長さ
リストラップの長さには主に以下のものがあります。
①30cmタイプ
②60cmタイプ
③99cmタイプ
30cmタイプは競技規定でストラップ類が使用できないデッドリフトの握力補助に使われます。
99cmタイプは競技競技ギリギリの長さで強いサポート力を発揮しますが上級者向きで、ベンチプレス150kgオーバーあたりから使用されます。
このため、初心者~中級者のプレス系トレーニングのサポート目的であれば、60cmタイプが適合
します。
リストラップの適合種目は、ベンチプレス系種目・ショルダープレス系種目・トライセプス系種目といったプレス系種目がメインになりますが、手首保護のためカール系種目や、握力補強のためデッドリフト系種目などプル系種目で使用する場合もあります。
なお、パワーリフティングやベンチプレスの公式競技では、リストラップが手の甲側にかぶさっていいのは「手首から2cmまで」と規定されていますので、競技を目指す方は初心者のうちからなれておくとよいでしょう。なお、競技に関係のない一般的なトレーニーの方は、2cmよりもやや深めに巻いたほうが手首へのサポート力は向上します。
さらに詳しくは下記の引用元ページをご参照ください。
リストラップの巻き方
なお、リストラップの正しい巻き方についてはこちらの動画をご参照ください。
要約すると、一周目は強く巻き、二周目で強さを調整するのが正しい手順です。
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