大胸筋のダンベルトレーニング種目のなかから、女性向きの大胸筋上部と内側をターゲットにしたメニューを選定して解説します。
大胸筋の構造と作用
大胸筋は上部・内側・下部に分けられ、それぞれの作用は次の通りです。
大胸筋上部:腕を斜め上に押し上げ閉じる
大胸筋内側:腕を前方で閉じる
大胸筋下部:腕を斜め下に押し上げ閉じる
女性が大胸筋を鍛えるメリット
胸周りのボリュームアップにつながる
大胸筋をトレーニングすることで、胸周りの土台部分のボリュームが増します。ただし、ダイエットと並行して行うとバストのボリューム自体は下がります。
女性筋トレの負荷回数設定
筋力トレーニングの対象となる骨格筋は、筋繊維が束状になって構成されていますが、その筋繊維には大きく「遅筋」と「速筋」があり、速筋は「速筋繊維Ⅱa」と「速筋繊維Ⅱb」に分けられます。それぞれの特性と筋力トレーニングでの負荷設定は以下の通りです。
遅筋(遅筋繊維Ⅰ)
持久的な運動において持続的な遅い収縮(Slow)をし、酸素(Oxygen)を消費することからSO筋とも別称されます。レジスタンストレーニングで鍛えてもほとんど筋肥大しません。陸上競技で例えるなら、長距離走に必要な筋肉です。
筋力トレーニングでは20レップス以上の反復回数で挙上限界がくるような、低負荷設定で鍛えます。
速筋(速筋繊維Ⅱa)
持久要素のある瞬発的な動作において速い収縮(Fast)をし、酸素(Oxygen)を消費することからFO筋とも別称されます。レジスタンストレーニングで鍛えると筋肥大します。陸上競技で例えるなら、400~800m走に必要な筋肉です。
筋力トレーニングでは12~15レップスの反復回数で挙上限界がくるような、中負荷設定で鍛えます。
速筋(速筋繊維Ⅱb)
瞬発的な運動において爆発的な速い収縮(Fast)をし、グリコーゲン(Glycogen)を消費することからFG筋とも別称されます。レジスタンストレーニングで鍛えると強く筋肥大します。陸上競技で例えるなら、100~200m走に必要な筋肉です。
筋力トレーニングでは6~10レップスの反復回数で挙上限界がくるような、高負荷設定で鍛えます。
女性トレーニングの重さの決め方
これら、3種類の筋肉の特性を考慮し、女性のボディメイクおよびダイエットに適切な重さの決め方(負荷回数設定)は次の通りです。
ボディメイクなら1セット15回で実施する
筋肉をおだやかにボリュームアップしたいボディメイクトレーニングの場合、速筋(速筋繊維Ⅱa)をターゲットにして「1セット15回で限界が来る重さ」で負荷を設定して行います。
ダイエットなら1セット20回で実施する
筋肉を筋肥大させずに刺激したいダイエットトレーニングの場合、遅筋(遅筋繊維Ⅰ)をターゲットにして「1セット20回で限界が来る重さ」で負荷を設定して行います。
ダンベルプレスの種類とやり方
ダンベルプレスは、肩甲骨をしっかりと寄せたままで動作を行うことが大切です。肩甲骨の寄せ方が甘い、または途中で緩むと大胸筋ではなく三角筋に負荷がかかりますので注意してください。
女性の場合、大胸筋のなかでも上部を刺激することが一般的ですので、フラットダンベルプレスではなく、斜め上方にダンベルを押し上げる軌道のインクラインダンベルプレスが適しています。
また、インクラインベンチがない環境では、逆手で行うリバースグリップダンベルプレスが有効です。
インクラインダンベルプレス
インクラインベンチを用いて斜め上方にダンベルを押し上げるバリエーションで、大胸筋上部に集中的に負荷が加わります。
リバースグリップダンベルプレス
逆手で行うバリエーションで、フラットベンチや床で行っても大胸筋上部に負荷をかけることが可能です。
デクラインダンベルプレス
でくラインベンチを用いて斜め下方にダンベルを押し上げるバリエーションで、大胸筋下部に集中的に負荷が加わります。女性の場合、ボディメイクトレーニングで胸周り全体のボリュームアップを狙うときに行う種目です。
ダンベルフライの種類とやり方
ダンベルフライは、肩甲骨をしっかりと寄せた状態で行うことが大切で、肩甲骨の寄せ方が弱かったり、途中で緩んでしまうと大胸筋ではなく三角筋に負荷がかかってしまうので注意が必要です。
また、腕を閉じたポジションで軽くあごを引いて腕を押し出す動きを加えることで、さらに大胸筋が強く収縮します。
なお、女性の場合は大胸筋上部に負荷が強くかかるインクラインダンベルフライを行うのが一般的です。
インクラインダンベルフライ
インクラインベンチを用いて、斜め上方に腕を閉じる軌道で行うバリエーションで、大胸筋の上部内側に集中的に負荷が加わります。
デクラインダンベルフライ
デクラインベンチを用いて、斜め下方に腕を閉じる軌道で行うバリエーションで、大胸筋の下部内側に集中的に負荷が加わります。本種目は、ボディメイクトレーニングで行うのが一般的です。
ダンベルプルオーバーの種類とやり方
ダンベルプルオーバーは、肘の角度によって負荷のかかる筋肉部位が大胸筋から広背筋に変化する、少し特殊なトレーニング種目です。
大胸筋に負荷をかけたい場合は、肘を曲げて行いますが、これをベントアームプルオーバーと呼びます。
また、広背筋に負荷をかけたい場合は、肘を伸ばして行いますが、これをストレートアームプルオーバーと呼びます。
いずれの場合も、ターゲットにした筋肉を意識的に収縮させることで効率的に負荷を加えることが可能です。
ダンベルベントアームプルオーバー
肘を曲げた状態で行うバリエーションで、大胸筋に縦方向の刺激を加えられる数少ないダンベル種目です。
ダンベルストレートアームプルオーバー
肘を伸ばした状態で行うバリエーションで、広背筋側部に集中的な刺激を加えられる数少ないダンベル種目です。
ダンベルの種類と特徴
ダンベルにはアイアンダンベル・ラバーダンベル・クロームダンベル・アーミーダンベル・アジャスタブルダンベルなど多くの種類があり、トレーニング目的に応じて適切なタイプを選択することが大切です。
女性の自宅ダイエットトレーニング
女性の自宅ダイエットトレーニングの1週間のメニュープログラムの組み方は、下記の記事をご参照ください。
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筋力トレーニングの効果が出る期間
下記の記事では、筋力トレーニングの効果とその成果が出るまでの期間について、女性のダイエットトレーニングのケースで解説しています。
筋力トレーニングと体重
ダイエットと言えば、どうしても気にしてしまうのが体重ですが、これは筋力トレーニングによるダイエットとは相反する場合があります。
それは、単位体積あたりの筋肉と脂肪の重量差に起因していますが、詳しくは下記の記事で解説しています。
ダイエット筋トレの食事メニュー例
ダイエット筋トレのための食事の基礎知識と適切な食事メニュー例は下記の記事をご参照ください。
女性のダイエット筋トレ向き食事メニュー(具体的レシピ例)
筋トレ情報コーナーについて
当コーナーでは、ジムトレーナーを職業とするメンバーと生物学の専門知識を持つ博物館学芸員のメンバーが共同で執筆・制作した筋肉の構造・作用および筋力トレーニング各種目の解説記事を公開しています。
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