時間的に制約の多い、忙しいサラリーマンの方が筋力トレーニングで成果を出すためのポイント、つまり成功の鍵は、週2回の部位分割法(スプリットトレーニング)と適切な食事管理(間食)です。
具体的なトレーニングメニュープログラム、推奨される食品について解説します。
筋力トレーニングの二大要素
適切なトレーニングと食事
筋力トレーニングで成果を出していくために必要な二大要素は、超回復理論に従った適切なトレーニングプログラムと、PFCバランスを考慮した適切な食事です。
つまり、時間的な制約の多いサラリーマンのライフサイクルに、これらを合わせていけば筋肉は発達していきます。
超回復理論とは?
筋力トレーニングを行い筋繊維に負荷をかけると、筋繊維はわずかな裂傷を負い、一定の回復期間の後にトレーニング前よりも強く・太くなって回復します。この生体反応を「超回復」と呼び、筋力トレーニングとは、計画的に超回復を繰り返すことにより筋肉を強くしていく行為です。
このため、筋肉に対してレジスタンス負荷をかける頻度・間隔には十分に留意してトレーニングプログラムを組み立てる必要があります。
骨格筋の超回復期間には、それぞれ固有の回復時間があり、それは年齢や性別によって左右されますが、20~30代男性の場合、おおよそ以下のようになります。
筋肉部位ごとの超回復期間
・大胸筋:48時間
・三角筋:48時間
・上腕三頭筋:48時間
・僧帽筋:48時間
・広背筋:72時間
・上腕二頭筋:48時間
・腹筋群:24時間
・脊柱起立筋:72時間
・大臀筋:48時間
・大腿四頭筋:72時間
・ハムストリングス:72時間
・前腕筋群:24時間
・下腿三頭筋:24時間
なお、加齢とともに超回復期間は最大2倍程度まで長くなります。また、女性は男性に比べると筋肉合成に関わるホルモン分泌量が少ないため、男性よりも超回復期間が長くなる傾向にあります。
このような、超回復理論にのっとり効率的に全身をトレーニングしていくためには、全身の筋肉を連動性によっていくつかのグループに分け、ローテーションで鍛えていく「部位分割法|スプリットトレーニング」が最適です。
厚生労働省による超回復とトレーニング頻度に関する記載
筋肉には疲労からの回復の時間が必要です。レジスタンス運動は標的の筋肉に負荷を集中する運動ですから、その筋肉に十分な回復期間としてトレーニング間隔をあける必要があります。毎日行うのではなく、2-3日に一回程度、週あたり2-3回行うくらいの運動頻度が推奨されます。
引用:https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/exercise/ys-058.html
筋肉はレジスタンス運動を行うと筋線維の一部が破断されます。それが修復される際にもとの筋線維よりも少し太い状態になります。これを「超回復」と呼び、これを繰り返すと筋の断面積が全体として太くなり筋力が上がります。筋力のトレーニングはこの仕組みを利用して最大筋力に近い負荷でレジスタンス運動し、筋が修復されるまで2~3日の休息ののち、またレジスタンス運動でトレーニングということの繰り返しによって行われます。
引用:https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/exercise/ys-092.html
サラリーマンには週2回の分割トレーニング
時間的制約の多いサラリーマンの場合、週3回のジム通いはライフスタイルとして負担が多くなります。ですので、週2回の部位分割トレーニングで鍛えていくのがベストであると考えられます。
また、仕事が忙しくて週1回しかジムに行けない時に備え、自宅での代替トレーニングを習得しておくのも大切です。
週2回の部位分割例
週2回のスプリットトレーニングで一般的なのが、以下のような分割方法です。
①上半身・下半身の押す動作の筋肉
②上半身・下半身の引く動作の筋肉
それでは、次の項目では具体的なメニュープログラムを自宅(自重+ダンベル)、ジム(マシン+バーベル)別に例示します。
具体的な週2回の部位分割トレーニング例(自宅)
①週1回目のトレーニングメニュー
①下半身全体のメニュー:自重スクワットまたはチューブスクワット(チューブレッグプレス)またはダンベルスクワットを2~3セット
②下半身前側のメニュー:シシースクワットまたはチューブレッグエクステンションまたはダンベルレッグエクステンションを1~2セット
③下半身後側のメニュー:ブルガリアンスクワット(フロントランジ)またはチューブレッグカールまたはダンベルレッグカールを1~2セット
④上半身押す筋肉のメニュー:腕立て伏せ(膝つき腕立て伏せ)またはチューブチェストプレスまたはダンベルプレスを2~3セット
⑤大胸筋のメニュー:チューブチェストフライ(チューブプルオーバー)またはダンベルフライ(ダンベルプルオーバー)を1~2セット
⑥腹筋・腸腰筋のメニュー:レッグレイズ(リバースクランチ)またはチューブレッグレイズまたはダンベルレッグレイズを2~3セット
②週二回目のトレーニングメニュー
①背筋全体のメニュー:懸垂(斜め懸垂)またはチューブデッドリフトまたはダンベルデッドリフトを2~3セット
②広背筋のメニュー:チューブラットプル(チューブローイング)またはダンベルローイングを2~3セット
③僧帽筋のメニュー:チューブショルダーシュラッグ(チューブリバースフライ)またはダンベルショルダーシュラッグを2~3セット
④上腕二頭筋のメニュー:逆手懸垂またはチューブカール(チューブハンマーカール)またはダンベルカールを2~3セット
⑤脊柱起立筋のメニュー:バックエクステンションまたはチューブグッドモーニングを2~3セット
具体的な週2回の部位分割トレーニング例(ジム)
①週1回目のトレーニングメニュー
①下半身全体のメニュー:マシンレッグプレス(スミスマシンスクワット)またはバーベルスクワットを2~3セット
②下半身前側のメニュー:マシンレッグエクステンションまたはバーベルフロントスクワットを1~2セット
③下半身後側のメニュー:マシンレッグカールまたはバーベルブルガリアンスクワット(バーベルフロントランジ・バーベルスティッフレッグドデッドリフト)を1~2セット
④上半身押す筋肉のメニュー:マシンチェストプレス(スミスマシンベンチプレス)またはバーベルベンチプレス(バーベルインクラインベンチプレス・バーベルデクラインベンチプレス)を2~3セット
⑤大胸筋のメニュー:マシンチェストフライ(ケーブルフライ)を1~2セット
⑥腹筋・腸腰筋のメニュー:ケーブルクランチを2~3セット
②週二回目のトレーニングメニュー
①背筋全体のメニュー:Tバーローイング(スミスマシンデッドリフト)またはバーベルデッドリフトを2~3セット
②広背筋のメニュー:ケーブルラットプルダウン(ケーブルローイング)またはバーベルベントオーバーロウを2~3セット
③僧帽筋のメニュー:ケーブルショルダーシュラッグまたはバーベルショルダーシュラッグを2~3セット
④上腕二頭筋のメニュー:マシンカール(ケーブルカール)またはバーベルカールを2~3セット
⑤脊柱起立筋のメニュー:スミスマシングッドモーニングまたはバーベルグッドモーニングを2~3セット
筋力トレーニングと食事
PFCバランスから食事の摂取量を決める
食事の三大栄養素(エネルギー産生栄養素)である、タンパク質(protein)・糖質(carbohydrate)・脂質(fat)の三種類の栄養素の頭文字をとったものがPFCバランスで、栄養バランスのことです。
この三種類の栄養素の特徴とグラムあたりのカロリーは以下の通りです。
○タンパク質(4kcal/g)
タンパク質は筋肉を構成する物質で、筋トレで鍛えた筋肉を大きくするための材料となります。
○糖質(4kcal/g)
糖質は活動のためのエネルギー源になるだけでなく、タンパク質を筋肉として合成する時の筋肉合成カロリーとして働きます。
○脂質(9kcal/g)
脂質も糖質と同様のエネルギー源としての働きを持ちますが、グラムあたりの熱量が高く、貯蔵エネルギーとして効率的なので、余剰カロリーは体脂肪として貯えられます。
三つの栄養素はバランスが重要視されている。これはPFCバランスと呼ばれ、タンパク質のProtein、脂質のFat、炭水化物のCarbohydrateの頭文字をとっている。PFCバランスはカロリーにおける比率をあらわしている。一般的に炭水化物の比率は60%前後とされ、脂質の比率が25~30%を超えると生活習慣病が増えるといわれ、食生活指針での指導の一項目となる。
厚生労働省による三大栄養素に関する記載
エネルギー産生栄養素(えねるぎーさんせいえいようそ)
食物中に含まれる身体に必須の成分のうち、たんぱく質・脂質・炭水化物の総称。
人間の身体になくてはならない栄養素のうち、エネルギー(カロリー)源となる「たんぱく質・脂質・炭水化物」を『エネルギー産生栄養素』と呼んでいます。以前は、三大栄養素とも言われていました。
引用:https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-013.html
筋肥大筋トレのPFCバランス計算
バルクアップ筋トレの場合、体重1kgあたり2gの純タンパク質(肉類換算10g)が一日に必要で、体重60kgの場合120g(肉類換算600g)の純タンパク質が必要になります。
そして、バルクアップのためにはタンパク質の2~3倍の筋肉合成カロリーが必要となるため、そのPFCバランスはおよそ3:1:6とされていますので、約240gの糖質と約40gの脂質が必要となります。
間食がキーポイント
一度の食事で吸収できる純タンパク質の量は約30gとされています。
体重60kgの場合に必要な1日の純タンパク質は120gですので、一日三回の食事だけでは30g×3回の90gしかタンパク質を摂取できず、タンパク質不足になってしまいます。
これを補うために重要なのが間食です。
間食として理想的なのは、1食分の純タンパク質量が30gに設定され、PFCバランスも最適になるように配合されているプロテインを飲むことですが、周囲の目を気にすると、職場にプロテインを持ち込み毎日仕事の合間に飲むのがためらわれる、というサラリーマンの方も少なくありません。
このような場合に、便利なのが通勤途中でも購入することのできるコンビニエンスストアーの食品です。
コンビニで買える筋トレ食品
近年では健康ブームの高まりにより、コンビニエンスストアーでも健康的な栄養バランスが考慮された食品が提供されています。
厚生労働省によるコンビニの活用法
弁当・惣菜の中には、「低エネルギー」、「1日分の1/2の野菜がとれる」、「小さいサイズ」などといった健康に配慮した商品もみられます。さらに、一部のコンビニエンスストアでは、「健康な食事・食環境」認証制度において「スマートミール」の認証を受けた弁当を購入することができます。「スマートミール」とは、健康に資する要素を含む栄養バランスの取れた食事のことです。
引用:https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-03-003.html
間食向きのコンビニ食品
人目を気にせず、仕事の合間に食べやすく、タンパク質を多く含んだ「サラリーマン筋トレの間食向き食品」には、以下のようなものがあります。
チーズ
ちくわ
笹かま
ゆで卵
魚肉ソーセージ
これらであれば、職場のデスクで食べていても、あまり違和感はありません。
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筋トレ向きの外食メニュー
サラリーマンの場合、職場の仲間と昼食ランチを外食することも少なくありません。また、付き合いなどで夕食も外食になるケースもあります。
このような時に、筋力トレーニングに適切な外食メニューを把握しておくことも大切です。
厚生労働省による外食の情報
外食とは、食堂やレストランなどの飲食店やファストフード店・喫茶店・居酒屋・事業所給食等での食事を指します。外食の利用は、特に単身者や20~30代の男性で多い傾向にあります。外食店を日常的に利用する場合、健康管理のためにも、料理を上手に選ぶことが大切です。▼詳細記事
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-03-005.html
筋力トレーニングに適切な、具体的な外食メニューに関しては下記の記事をご参照ください。
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筋力トレーニングと食事の基礎知識
筋力トレーニングを実施したら、そこで満足して終わるのではなく、トレーニング効果を最大限高める食事・栄養摂取をする必要があります。
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