筋力トレーニングの目的別(筋肥大・ダイエット)に必要となる1日あたりのタンパク質の摂取推奨量について解説します。
タンパク質とは
タンパク質とは生物の筋肉などを構成する高分子化合物で、アミノ酸が鎖状に多数連結して形成されています。C(炭素)・H(水素)・O(酸素)のほかN(窒素)の各原子が主な構成要素です。
筋力トレーニングの実施後は、筋繊維に微細な裂傷が生じ、これが超回復する時に筋肥大や筋密度の向上が起こります。そして、超回復・筋肉の合成に不可欠な材料となる物質がタンパク質です。
このため、筋力トレーニングの実施にあわせて、適切なタンパク質量を摂取していくことが重要になります。
タンパク質(タンパクしつ、蛋白質、英: protein [ˈproʊtiːn]、独: Protein [proteˈiːn/protain])とは、20種類存在するL-アミノ酸が鎖状に多数連結(重合)してできた高分子化合物であり、生物の重要な構成成分のひとつである。タンパク質は、炭水化物、脂質とともに三大栄養素と呼ばれ、英語の各々の頭文字を取って「PFC」とも呼ばれる。タンパク質は身体をつくる役割も果たしている。
厚生労働省によるタンパク質に関する記載
たんぱく質は、炭水化物、脂質と共にエネルギー産生栄養素のひとつです。全ての動物および植物の細胞を構成する主要な成分であり、生体乾燥重量の約50%を占めます。筋肉・臓器・皮膚・毛髪などの体構成成分、ホルモン・酵素・抗体などの体調節機能成分、豆・卵・肉・魚などの食品成分として重要であり、生命の維持に欠くことができないものです。
エネルギー産生栄養素の構成成分の中心は炭素および水素ですが、たんぱく質のみ約16%の窒素を含むことが特徴です。たんぱく質の種類は多く、各たんぱく質の構造・性状・働きは大きく異なっていますが、いずれも20種類のアミノ酸が約50~1,000結合した化合物です。
筋肥大トレーニングに必要なタンパク質量
筋肥大トレーニングに必要な1日あたりのタンパク質は、除脂肪体重1kgあたり2g前後とされています。
体重70kg体脂肪率20%の場合、除脂肪体重は70kg×80%=56kgとなり、1日に必要なタンパク質量は56×2g=112gとなります。
純タンパク質1gを肉類や魚類に換算すると、水分量を含めておおよそ5倍の5g程度になりますから、1日に112g×5=560g程度のタンパク質食品が必要になります。
また、タンパク質を分解・再合成(蛋白同化)するためには筋肉合成カロリーが必要となり、そのカロリーは摂取タンパク質カロリーの約2倍です。
同化(どうか、Anabolism)とは、小さな部品から分子を構成する代謝過程である。これらの反応にはエネルギーが必要である。
純タンパク質1gの熱量は4kcalですので、1日に112g×5=560g程度のタンパク質食品を摂取した場合、その同化には112g×4kcal×2倍=896kcalの炭水化物・脂質カロリーが必要になります。
ダイエットトレーニングに必要なタンパク質量
ダイエットトレーニングに必要となる1日あたりのタンパク質量は、筋肥大トレーニングの場合よりも少なく、除脂肪体重1kgあたり1g前後とされています。
体重60kg体脂肪率30%の場合、除脂肪体重は60kg×70%=42kgとなり、1日に必要なタンパク質量は42×1g=42gとなります。
純タンパク質1gを肉類や魚類に換算すると、水分量を含めておおよそ5倍の5g程度になりますから、1日に42g×5=210g程度のタンパク質食品が必要になります。
純タンパク質1gの熱量は4kcalですので、1日に42g×5=210g程度のタンパク質食品を摂取した場合、そのカロリーは168kcalとなります。これに、炭水化物や脂質カロリーなどを加え、1日の消費カロリーよりも若干少ないカロリー摂取を行っていけば、筋密度を向上させつつ体重を減少させることが可能です。
主なタンパク質食品の部位ごとのカロリー・栄養素
牛肉部位のカロリー・栄養素をご紹介するとともに、筋トレの目的別=筋肥大・バルクアップと減量・ダイエットそれぞれに最適な部位を解説します。
牛肉には、ヒレ・肩ロース・もも・カルビ・ホルモン類などがあり、それぞれに特徴が異なります。
具体的な数値は引用リンク先でご確認ください。
豚肉は主に肩・肩ロース・ロース・ヒレ・バラ・モモの6部位に分類されます。
このほかに、内臓系として豚タン・豚ハツ・豚ホルモン・豚モツなどがあります。
それでは、これらの部位を筋肥大バルクアップ筋トレ向き(高タンパク質で適度なカロリーを含む)、減量ダイエット筋トレ向き(高タンパク質低カロリー)、筋トレに向かない部位(高カロリー)の3つに分類してご紹介します。
具体的な数値は引用リンク先でご確認ください。
鶏肉には主に、ささみ・むね肉・もも肉・せせり・手羽があり、このほかにホルモン系としてレバー・鶏ハツ・砂肝があります。
それでは、これらの部位を筋肥大バルクアップ筋トレ向き(高タンパク質で適度なカロリーを含む)、減量ダイエット筋トレ向き(高タンパク質低カロリー)、筋トレに向かない部位(高カロリー)の3つに分類してご紹介します。
主要な魚の種類ごとのカロリー・栄養素(100gあたり)を表記しておきますので、筋力トレーニング向きの魚料理を作る際の参考にしてください。
具体的な食事メニュー例
ここまで解説してきた栄養学の知識に基づいた、具体的な食事メニュー例(筋肥大・ダイエットそれぞれ)および食材・食品については、下記の記事で詳しく解説しています。
▼トレーニング効果を高める食事
コンビニエンスストアーの活用
近年では健康ブームの高まりにより、コンビニエンスストアーでも健康的な栄養バランスが考慮された食品が提供されています。それらをトレーニング前後に活用するのも有効です。
厚生労働省によるコンビニの活用法
弁当・惣菜の中には、「低エネルギー」、「1日分の1/2の野菜がとれる」、「小さいサイズ」などといった健康に配慮した商品もみられます。さらに、一部のコンビニエンスストアでは、「健康な食事・食環境」認証制度において「スマートミール」の認証を受けた弁当を購入することができます。「スマートミール」とは、健康に資する要素を含む栄養バランスの取れた食事のことです。
引用:https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-03-003.html
具体的な筋トレ前後それぞれに最適なコンビニ食については下記の記事をご参照ください。
▼詳細記事
筋トレに有効なコンビニ食品|セブンイレブン・ファミリーマート・ローソンの具体例
外食店の活用
また、トレーニング後30~60分は「タンパク質吸収のゴールデンタイム」と呼ばれています。トレーニング施設から帰宅・食事まであまりに時間がかかるようであれば、外食店を活用するのも有効です。
厚生労働省による外食の情報
外食とは、食堂やレストランなどの飲食店やファストフード店・喫茶店・居酒屋・事業所給食等での食事を指します。外食の利用は、特に単身者や20~30代の男性で多い傾向にあります。外食店を日常的に利用する場合、健康管理のためにも、料理を上手に選ぶことが大切です。▼詳細記事
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-03-005.html
筋力トレーニング後に適切で具体的な外食メニューの選び方は、下記の記事をご参照ください。
▼詳細記事
筋トレ後に有効な外食メニュー|牛丼・カツ丼・ハンバーガー・寿司など