筋力トレーニングを実施するにあたり大切なことが「負荷回数設定」、すなわち、どのくらいの重量のウエイトをどれだけ反復しるかということです。
これは、トレーニング目的によって異なってきますが、筋力トレーニングの対象となる筋繊維の種類と特性を考慮して設定する必要があります。
まずは、筋肉の種類、そして筋力トレーニングの対象となる横紋筋の筋繊維タイプの順に解説していきます。
横紋筋・平滑筋・心筋
人体を構成している筋肉には、横紋筋・平滑筋・心筋の三種類があり、それぞれが構成する人体の器官は以下の通りです。
骨格筋
横紋筋…全て随意筋
内臓筋
横紋筋…舌や咽頭などの随意筋
横紋筋…横隔膜や食道など不随意筋
平滑筋…消化管や血管など不随意筋
心筋……心臓を構成する不随意筋
筋力トレーニングの対象は骨格筋
このなかで、筋力トレーニングの対象となるのは骨格筋(横紋筋)です。
骨格筋の筋繊維の三種類
速筋(FG筋・FO筋)と遅筋(SO筋)
骨格筋(横紋筋)は筋繊維が束上になって構成されていますが、その筋繊維には大きく二種類があり、それは速筋(瞬発筋)と遅筋(持久筋|SO筋|筋繊維TYPE1)です。
そして、速筋(瞬発筋)はさらに二種類に分けられ、それがFG筋(筋繊維TYPE2b)とFO筋(筋繊維TYPE2a)です。
それぞれの筋繊維の特性は以下の通りです。
遅筋(遅筋繊維Ⅰ)
持久的な運動において持続的な遅い収縮(Slow)をし、酸素(Oxygen)を消費することからSO筋とも別称されます。レジスタンストレーニングで鍛えてもほとんど筋肥大しません。陸上競技で例えるなら、長距離走に必要な筋肉です。
筋力トレーニングでは20レップス以上の反復回数で挙上限界がくるような、低負荷設定で鍛えます。
速筋(速筋繊維Ⅱa)
持久要素のある瞬発的な動作において速い収縮(Fast)をし、酸素(Oxygen)を消費することからFO筋とも別称されます。レジスタンストレーニングで鍛えると筋肥大します。陸上競技で例えるなら、400~800m走に必要な筋肉です。
筋力トレーニングでは12~15レップスの反復回数で挙上限界がくるような、中負荷設定で鍛えます。
速筋(速筋繊維Ⅱb)
瞬発的な運動において爆発的な速い収縮(Fast)をし、グリコーゲン(Glycogen)を消費することからFG筋とも別称されます。レジスタンストレーニングで鍛えると強く筋肥大します。陸上競技で例えるなら、100~200m走に必要な筋肉です。
筋力トレーニングでは6~10レップスの反復回数で挙上限界がくるような、高負荷設定で鍛えます。
厚生労働省による筋繊維に関する記載
骨格筋を構成している筋繊維には大きく分けて速筋と遅筋の2種類があります。速筋は白っぽいため白筋とも呼ばれます。収縮スピードが速く、瞬間的に大きな力を出すことができますが、長時間収縮を維持することができず張力が低下してしまいます。遅筋は赤みがかった色から赤筋とも呼ばれます。収縮のスピードは比較的遅く、大きな力を出すことはできませんが、疲れにくく長時間にわたって一定の張力を維持することができます。
引用:https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/exercise/ys-026.html
筋力トレーニングの目的と適正な重量設定
これらのことから、筋力トレーニングの目的とそれぞれに適正な負荷回数設定=重量設定は以下のようになります。
強い瞬発力の強化および筋肥大バルクアップトレーニング
パワーリフティングに代表されるような、10秒前後の短時間での強い瞬発力を強化する、または筋肥大バルクアップを目的とする場合は、1セットを6~10レップスになるように重量設定を行う。
瞬発力の強化および健康維持・女性のボディメイクなど
30~60秒の比較的短い時間で筋収縮を必要とする競技に必要な筋力を強化する、または一般的な健康維持・筋力向上トレーニングや女性のボディーメイクトレーニングなどを目的とする場合は、1セットを12~15レップスになるように重量設定を行う。
筋持久力の強化およびダイエットトレーニングなど
分単位の持続的な筋収縮を必要とする競技の能力向上、または筋肥大を避けるダイエットトレーニングなどを目的とする場合は、1セットを20レップス以上になるように重量設定を行う。
RM換算表(Repetition Maxim)
ある重量を何回挙上(反復)できるかによって、最大筋力を推測するものがRM換算表です。RMとはRepetition Maxim(レペティション・マキシマム)、つまり最大反復回数のことで、例えば10RMとは10回上げられる重量のことであり、この数値から1RM(1回だけ上げられる重量)を推測することが可能です。
詳しくは上記リンク先でご確認ください。
筋力トレーニングと食事の基礎知識
筋力トレーニングを実施したら、そこで満足して終わるのではなく、トレーニング効果を最大限高める食事・栄養摂取をする必要があります。
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