筋力トレーニングを実施して筋肉をつけたい(筋肥大)、綺麗になりたい(ダイエット)という気持ちが強いあまり、筋力トレーニングをやりすぎる=オーバーワークになるのは避けたいところです。
オーバーワークは適正な範囲を超えて筋肉に負荷をかけるため、筋繊維の損傷が過剰になるだけでなく、関節や人体にも悪影響を及ぼします。 また、オーバーワークの状態が続くことで、オーバートレーニング症候群と呼ばれる慢性的な疲労状態に陥ってしまうケースもあります。
オーバーワークにならない目安
筋力トレーニングを実施すると、負荷をかけた筋肉に血液やリンパ液が集中し筋肉が張った状態、いわゆるパンプアップした状態になります。
さらに、同一箇所に負荷をかけ続けるとパンプアップを通り越し、軽い痛みを感じる状態になりますが、一般的に、この状態がオーバーワークの限界点と言えます。 適度なパンプアップを目安に(痛みが生じない程度に)、筋力トレーニングを実施してください。
オーバートレーニング症候群とは
オーバートレーニング症候群とは、オーバートレーニングを蓄積し、また、適切な超回復期間を置くことなく高頻度で筋力とレーニングを実施し続けることによって引き起こされる慢性疲労の状態です。
引き起こされる原因としては、競技者では「もっと強くなりたい」、一般トレーニーでは「もっと筋肉をつけたい」「もっと綺麗になりたい」といった心理的欲求に起因することが多いため、本症候群の早期発見には心理的プロフィールテスト(POMS)・心理的競技能力診断検査(DIPCA3)・体協競技意欲検査(TSMI)のような心理テストもチェック方法として有効と考えられています。
スポーツの実施などによって生じる生理的な疲労が、十分に回復しないまま積み重なって起こる慢性疲労状態のことを指します。スポーツトレーニングは、日常の身体活動のレベルより大きな負荷の運動をすることによってトレーニング効果が得られるという原則があります。これを過負荷の原則(オーバーロード・トレーニング)といいますが、大きな過負荷を続けると同時に、疲労回復に必要な栄養と休養が不十分であった場合には、かえって競技の成績やトレーニングの効果が低下してしまいます。このような状態をオーバートレーニング症候群といいます。 引用:厚生労働省eヘルスネット「オーバートレーニング症候群」
オーバートレーニングにならないために
オーバーワークや慢性的なオーバートレーニングにならないために重要なことは、筋肉を鍛えていく上で大切な「適切な実施頻度・強度」および「回復のための食事・栄養」に関する知識をしっかりと理解することです。 このためには、筋肉の超回復理論・筋繊維の種類と負荷回数設定・食事の栄養学が重要です。
超回復理論にのっとったトレーニングプログラム
筋トレで負荷のかかった筋肉は、筋繊維に微細な裂傷が発生します。そして、ダメージを受けた筋繊維は、一定の回復期間をおいて、鍛える前よりも強く太くなって回復します。
この一連の生体反応を超回復と呼び、筋トレ(筋力トレーニング・筋肉トレーニング)とは、適切で意図的な超回復を繰り返すことによって、筋力向上や筋肥大を達成する行為なのです。
各筋肉部位ごとのおおよその超回復期間は以下の通りです。
筋肉部位ごとの超回復期間
・大胸筋:48時間
・三角筋:48時間
・上腕三頭筋:48時間
・僧帽筋:48時間
・広背筋:72時間
・上腕二頭筋:48時間
・腹筋群:24時間
・脊柱起立筋:72時間
・大臀筋:48時間
・大腿四頭筋:72時間
・ハムストリングス:72時間
・前腕筋群:24時間
・下腿三頭筋:24時間
なお、加齢とともに超回復期間は最大2倍程度まで長くなります。また、女性は男性に比べると筋肉合成に関わるホルモン分泌量が少ないため、男性よりも超回復期間が長くなる傾向にあります。
このような、超回復理論にのっとり効率的に全身をトレーニングしていくためには、全身の筋肉を連動性によっていくつかのグループに分け、ローテーションで鍛えていく「部位分割法|スプリットトレーニング」が最適です。その具体的なローテーションの組み方は以下の通りです。
部位分割トレーニング
筋力トレーニングの効率を上げるためには、一度に全身の筋肉全てを鍛えるのではなく、筋肉部位を2~4グループに分け、1日に1グループずつ一週間で2~4回の分割トレーニングを行うことが有効です。
週2回のトレーニングの場合
①上半身・下半身の押す動作の筋肉
②上半身・下半身の引く動作の筋肉 具体的なトレーニングメニューは下記の記事に記載しています。
▼具体的な週2回トレーニングメニュー
週3回のトレーニングの場合
①上半身の押す動作の筋肉
②下半身の筋肉
③上半身の引く動作の筋肉 具体的なトレーニングメニューは下記の記事に記載しています。
▼具体的な週3回トレーニングメニュー
週4回のトレーニングの場合
①上半身の押す動作の筋肉
②下半身の押す動作の筋肉
③上半身の引く動作の筋肉
④下半身の引く動作の筋肉
具体的なトレーニングメニューは下記の記事に記載しています。
▼具体的な週4回トレーニングメニュー
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筋トレの超回復って嘘?筋肉部位ごとの回復期間とエビデンスを明示
厚生労働省による超回復とトレーニング頻度に関する記載
筋肉には疲労からの回復の時間が必要です。レジスタンス運動は標的の筋肉に負荷を集中する運動ですから、その筋肉に十分な回復期間としてトレーニング間隔をあける必要があります。毎日行うのではなく、2-3日に一回程度、週あたり2-3回行うくらいの運動頻度が推奨されます。
引用:https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/exercise/ys-058.html
筋肉はレジスタンス運動を行うと筋線維の一部が破断されます。それが修復される際にもとの筋線維よりも少し太い状態になります。これを「超回復」と呼び、これを繰り返すと筋の断面積が全体として太くなり筋力が上がります。筋力のトレーニングはこの仕組みを利用して最大筋力に近い負荷でレジスタンス運動し、筋が修復されるまで2~3日の休息ののち、またレジスタンス運動でトレーニングということの繰り返しによって行われます。
引用:https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/exercise/ys-092.html
筋トレ目的別の重さと回数の決め方
筋力トレーニングの対象となる骨格筋は、筋繊維が束状になって構成されていますが、その筋繊維には大きく「遅筋」と「速筋」があり、速筋は「速筋繊維Ⅱa」と「速筋繊維Ⅱb」に分けられます。
速筋繊維は10回前後の高負荷低回数で鍛え、鍛えることで筋肥大します。一方、遅筋繊維は20回前後の低負荷高回数で鍛え、鍛えることで筋密度が向上します。
つまり、バルクアップ目的でのトレーニングでは10回前後で限界がくる負荷回数設定で、ダイエット目的でのトレーニングでは20回前後で限界がくる負荷回数設定でトレーニングを実施することが有効です。
厚生労働省による筋繊維に関する記載
骨格筋を構成している筋繊維には大きく分けて速筋と遅筋の2種類があります。速筋は白っぽいため白筋とも呼ばれます。収縮スピードが速く、瞬間的に大きな力を出すことができますが、長時間収縮を維持することができず張力が低下してしまいます。遅筋は赤みがかった色から赤筋とも呼ばれます。収縮のスピードは比較的遅く、大きな力を出すことはできませんが、疲れにくく長時間にわたって一定の張力を維持することができます。
引用:https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/exercise/ys-026.html
適切な食事と栄養補給
筋力トレーニングを実施したら、そこで満足して終わるのではなく、トレーニング効果を最大限高める食事・栄養摂取をする必要があります。 このために必要な情報は下記の記事に詳しく記載しています。
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