筋力トレーニングの対象となる全身の主要な筋肉、大胸筋・背筋群・三角筋・上腕三頭筋・上腕二頭筋・大腿四頭筋・ハムストリングスのストレッチ方法を解説するとともに、ストレッチをトレーニング前・中・後それぞれに行う意味についても解説します。
スポーツや医療の分野においてストレッチ(英: stretching)とは、 体のある筋肉を良好な状態にする目的でその筋肉を引っ張って伸ばすことをいう。筋肉の柔軟性を高め関節可動域を広げるほか、呼吸を整えたり、精神的な緊張を解いたりするという心身のコンディション作りにもつながるなど、様々な効果がある。
ストレッチの効果について
トレーニング前のストレッチ
筋力トレーニング実施前に行うストレッチは、ウォーミングアップとしての効果が大きく、筋肉を運動できる状態にします。これにより、怪我の予防やパフォーマンスの向上につながります。
トレーニング中のストレッチ
筋力トレーニング中のセットインターバルでストレッチを行うことで、筋肉が冷えることを予防し、次セットでのパフォーマンスを高めることができます。
トレーニング後のストレッチ
筋力トレーニング後のストレッチには、クールダウンとしての効果があり、筋肉を休息モードに向かわせます。
厚生労働省によるストレッチの効果に関する記載
ストレッチングとは意図的に筋や関節を伸ばす運動です。体の柔軟性を高めるのに効果的であり、準備運動や整理運動の一要素としても活用されています。最近では美しい姿勢の保持やリラクゼーションの効果が明らかとなってきました。広い場所や道具を必要とすることなく行えることから、愛好者が増えている運動のひとつです。
ストレッチングにより柔軟性が増す理由は、筋の伸張反射の感受性が低下することと筋や靱帯の弾性要素が組織科学的変化を起こすことが要因です。また、ストレッチングは2-3メッツの強度がありますので筋温や体温を高める有効です。これらが柔軟性の向上やウォーミングアップ効果と関連しているのです。
最近ではこれらの効果に加えてリラクゼーションの効果が明らかとなってきました。
引用:https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/exercise/s-04-006.html
ストレッチ実施の基本
ストレッチを行う場合の基本は以下の通りです。
①筋肉の収縮方向と反対方向に筋肉を伸ばす
②痛みを感じない程度にゆっくりと伸ばす
③30秒前後を目安とする
④呼吸を止めないように留意する
厚生労働省によるストレッチのやり方に関する記載
ストレッチングを実施する際に注意すべき原則は5つあります。「1. 時間は最低20秒」「2. 伸ばす筋や部位を意識する」「3. 痛くなく気持ち良い程度に伸ばす」「4. 呼吸を止めないように意識する」「5. 目的に応じて部位を選択する」ということです。
健康づくりの現場では安全第一で、傷害のリスクが少ないスタティックストレッチングが用いられることが多いようです。柔軟性の向上の効果に関してはスタティックストレッチングがダイナミックストレッチングに劣ることはないことがわかっています。パートナーストレッチングは補助者に高い技術を求められることが少なくないため、安全に実施するという観点からセルフスタティックストレッチングが勧められます。
引用:https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/exercise/s-04-007.html
ストレッチの種類
ストレッチには主にスタティックストレッチングとダイナミックストレッチングがありますが、それぞれの特徴は以下の通りです。
スタティックストレッチング
スタティックストレッチングは反動を使わずに行うストレッチ方法で静的柔軟体操とも呼ばれます。単に「ストレッチ」という場合はスタティックストレッチングのことをさします。
ダイナミックストレッチング
ダイナミックストレッチングは反動を利用して強く筋肉を伸ばすストレッチ方法で、動的柔軟体操とも呼ばれます。
PNFストレッチ
PNFストレッチは、近年、競技能力向上目的でトップアスリートも導入するようになってきた、スポーツ向きのストレッチ方法です。
PNFストレッチとは、「Proprioceptive Neuromuscular Facilitation」の頭文字をとったストレッチ方法で、直訳すると「固有感覚神経筋機能促進」となり、一般的には「固有受容性神経筋促通法」と呼ばれています。
競技スポーツへの応用として行われるPNFストレッチは、主に肩関節周辺とハムストリングスに対して行われます。肩関節周辺インアーマッスルやハムストリングスは競技能力に大きく影響する筋肉なので、競技までには確実かつしっかりとストレッチを行い、可動域を広げておきたい部位です。
▼PNFストレッチのやり方
大胸筋のストレッチ方法
大胸筋の収縮方向とストレッチ方向
大胸筋は肩関節を基部として体幹前面に扇状に広がる筋肉で、その収縮方向は図に示したように大きく三方向となります。その収縮法にともなう作用は以下の通りです。
・大胸筋上部:腕を斜め前方に押し出す
・大胸筋中部:腕を前方で閉じる
・大胸筋下部:腕を斜め下方に押し出す
また、大胸筋の伸展方向はそれぞれこの逆となり、その関係は以下のようになります。
・大胸筋上部:腕を斜め下後方に伸ばす
・大胸筋中部:腕を後方に開いて伸ばす
・大胸筋下部:腕を斜め上後方に伸ばす
大胸筋のストレッチ方法(動画解説)
大胸筋の具体的な動画解説は下記のリンク先をご参照ください。
背筋群のストレッチ方法
背筋群の収縮方向とストレッチ方向
表層の大きな背筋として、首の後ろから腰にかけて逆三角形に広がる僧帽筋と、脇から腰にかけて逆三角形に広がる広背筋の二つがあります。その収縮方向は上図に示し、その作用は以下の通りです。
・僧帽筋上部:腕を斜め下方から引く
・僧帽筋下部:腕を前方から引く
・広背筋:腕を前方および上方から引く
また、それぞれの伸展方向は収縮方向と逆の以下のようになります。
・僧帽筋上部:腕を斜め下方に伸ばす
・僧帽筋下部:腕を前方へ大きく伸ばす
・広背筋:腕を前方および上方に伸ばす
背筋群のストレッチ方法(動画解説)
背筋群の具体的な動画解説は下記のリンク先をご参照ください。
上腕のストレッチ方法
上腕の収縮方向とストレッチ方向
三角筋
三角筋は上図のように前部・側部・後部の三つの部位から構成されており、それぞれの収縮方向と作用は以下の通りです。
・三角筋前部・腕を前に上げる
・三角筋側部:腕を横に上げる
・三角筋後部:腕を後ろに上げる
また、それぞれの伸展方向は収縮後方の逆の方向と動作になります。
上腕三頭筋
上腕三頭筋は図のように長頭と外側頭・内側頭の三つの部位から構成されており、それぞれの収縮方向と主な作用は以下の通りです。
・上腕三頭筋長頭:肘関節の伸展と肩の内転
・上腕三頭筋外側頭:肘関節の伸展
・上腕三頭筋内側頭:肘関節の伸展
また、それぞれの伸展方向は収縮後方の逆の方向と動作になります。
上腕二頭筋
上腕二頭筋は図のように長頭と短頭の二つの部位から構成されており、それぞれの収縮方向と主な作用は以下の通りです。
・上腕二頭筋長頭:肘関節の屈曲と前腕の回外
・上腕二頭筋短頭:肘関節の屈曲と前腕の回外
また、それぞれの伸展方向は収縮後方の逆の方向と動作になります。
上腕のストレッチ方法(動画解説)
上腕(三角筋・上腕三頭筋・上腕二頭筋)の具体的な動画解説は下記のリンク先をご参照ください。
太ももののストレッチ方法
太ももの収縮方向とストレッチ方向
大腿四頭筋
大腿四頭筋は、大腿直筋・外側広筋・内側広筋・中間広筋の四つの部位から構成されており、その構造と収縮方向の概要は上図のようになります。大腿四頭筋は、これら四つの筋肉部位が共働し「膝関節を伸展させる」作用を持つほか、大腿直筋には股関節を屈曲させる作用もあります。
ストレッチは、この収縮方向と逆に伸ばしていきます。
ハムストリングス
ハムストリングスは大腿二頭筋長頭および短頭・半腱様筋・半膜様筋の3つの筋肉4部位から構成されており、大腿二頭筋は「膝関節の屈曲・股関節の伸展・股関節の外旋」の作用、半腱様筋は「膝関節の屈曲・膝関節の内旋・股関節の伸展・股関節の内旋」の作用。半膜様筋は「膝関節の屈曲・膝関節の内旋・股関節の伸展・股関節の内旋」の作用をそれぞれ持っています。
ストレッチは、この収縮方向と逆に伸ばしていきます。
太もものストレッチ方法(動画解説)
太ももの具体的な動画解説は下記のリンク先をご参照ください。
筋力トレーニングと食事の基礎知識
筋力トレーニングを実施したら、そこで満足して終わるのではなく、トレーニング効果を最大限高める食事・栄養摂取をする必要があります。
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