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スミスマシンの使い方|ベンチプレス・デッドリフト・スクワットと筋肉部位別の種目

スミスマシントレーニングはフリーウエイトトレーニングに近い感覚で実施でき、本格的なバーベルトレーニングへの導入としても有効です。

本記事では、スミスマシンマシントレーニングのBIG3種目(ベンチプレス・デッドリフト・スクワット)を中心に、その他の筋肉部位別の種目のやり方を解説します。また、スミスマシン主体の一週間のマシントレーニングプログラムの組み方についてもご紹介していきます。

スミスマシンマシントレーニングを実施していくのにあたり、まずは以下の基礎的な知識を理解し、身につけていただきたいと考えています。

①スミスマシントレーニングの特性

②トレーニング対象となる主な骨格筋の名称と作用

③筋繊維の種類とトレーニング目的別の負荷設定

④超回復理論にのっとったトレーニングプログラム

⑤各トレーニング種目の具体的な実施方法

スミスマシントレーニングの特性

スミスマシントレーニングは、フリーウエイトであるバーベルトレーニング種目の多くを、マシンレールで軌道が確保された状態で実施することができます。

このため、初心者や女性にとって安心感があり取り組みやすく、本格的なバーベルトレーニングへの導入として有効です。

また、中~上級者にとっても軌道のブレを気にする必要がないため、バーベルトレーニングよりも高負荷でトレーニングを実施できるというメリットがあります。

反面、軌道のブレを自身で制御する必要がないため、体幹インナーマッスルが強化できづらい部分もあります。

また、軌道が固定されているため、最初のセッティング位置・フォームがずれていると軌道のズレが全て関節に歪みとして返ってきてしまうので、セット前に入念なフォームチェックや軌道確認が必要になります。

厚生労働省によるレジスタンス運動に関する記載

スクワットや腕立て伏せ・ダンベル体操などの標的とする筋肉に抵抗(レジスタンス)をかける動作を繰り返し行う運動をレジスタンス運動と言います。レジスタンス運動にはダンベルやマシンなどの器具を用いて行う方法と、スクワットや腕立て伏せのように自体重を利用して行う方法があります。

引用:https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/exercise/ys-058.html

②トレーニング対象となる主な骨格筋の名称と作用

筋力トレーニングの対象となる主な骨格筋は、その連動性と共働関係から以下のようにグループ分けされるのが一般的です。それぞれの筋肉名称と主な作用は以下のようになります。

1.上半身前面(押す動作)のグループ

大胸筋:上腕を前方に押し出し閉じる
三角筋:上腕を上・前・横・後ろに上げる
上腕三頭筋:肘関節を伸展させる
前腕伸筋群:手首関節を伸展させる
腹筋群:体幹を屈曲・回旋させる

このほかに、小胸筋・前鋸筋・肘筋などの深層筋も含まれます。

2.上半身後面(引く動作)のグループ

僧帽筋:肩甲骨を引き寄せる
広背筋:上腕を上・前から引き寄せる
上腕二頭筋:肘関節を屈曲させる
前腕屈筋群:手首関節を屈曲させる
脊柱起立筋:体幹を伸展させる

このほかに、菱形筋・大円筋・回旋筋腱板。上腕筋などの深層筋も含まれます。

3.下半身前面(押す動作)のグループ

腸腰筋群:股関節を屈曲させる
大腿四頭筋:肘関節を伸展させる
下腿三頭筋:足首関節を伸展させる

4.下半身後面(引く動作)のグループ

臀筋群:股関節を伸展させる
ハムストリングス:膝関節を屈曲させる
内転筋群:大腿を内転させる

筋肉の名称と作用の図鑑

筋肉の名前(読み方)と作用|部位詳細・英語名称・ラテン名・起始停止なども解説

種類とトレーニング目的別の負荷設定

筋力トレーニングの対象となる骨格筋は、筋繊維が束状になって構成されていますが、その筋繊維には大きく「遅筋」と「速筋」があり、速筋は「速筋繊維Ⅱa」と「速筋繊維Ⅱb」に分けられます。それぞれの特性と筋力トレーニングでの負荷設定は以下の通りです。

遅筋(遅筋繊維Ⅰ)

持久的な運動において持続的な遅い収縮(Slow)をし、酸素(Oxygen)を消費することからSO筋とも別称されます。レジスタンストレーニングで鍛えてもほとんど筋肥大しません。陸上競技で例えるなら、長距離走に必要な筋肉です。

筋力トレーニングでは20レップス以上の反復回数で挙上限界がくるような、低負荷設定で鍛えます。

速筋(速筋繊維Ⅱa)

持久要素のある瞬発的な動作において速い収縮(Fast)をし、酸素(Oxygen)を消費することからFO筋とも別称されます。レジスタンストレーニングで鍛えると筋肥大します。陸上競技で例えるなら、400~800m走に必要な筋肉です。

筋力トレーニングでは12~15レップスの反復回数で挙上限界がくるような、中負荷設定で鍛えます。

速筋(速筋繊維Ⅱb)

瞬発的な運動において爆発的な速い収縮(Fast)をし、グリコーゲン(Glycogen)を消費することからFG筋とも別称されます。レジスタンストレーニングで鍛えると強く筋肥大します。陸上競技で例えるなら、100~200m走に必要な筋肉です。

筋力トレーニングでは6~10レップスの反復回数で挙上限界がくるような、高負荷設定で鍛えます。

厚生労働省による筋繊維に関する記載

骨格筋を構成している筋繊維には大きく分けて速筋と遅筋の2種類があります。速筋は白っぽいため白筋とも呼ばれます。収縮スピードが速く、瞬間的に大きな力を出すことができますが、長時間収縮を維持することができず張力が低下してしまいます。遅筋は赤みがかった色から赤筋とも呼ばれます。収縮のスピードは比較的遅く、大きな力を出すことはできませんが、疲れにくく長時間にわたって一定の張力を維持することができます。

引用:https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/exercise/ys-026.html

④超回復理論にのっとったトレーニングプログラム

筋力トレーニングを行い筋繊維に負荷をかけると、筋繊維はわずかな裂傷を負い、一定の回復期間の後にトレーニング前よりも強く・太くなって回復します。この生体反応を「超回復」と呼び、筋力トレーニングとは、計画的に超回復を繰り返すことにより筋肉を強くしていく行為です。

このため、筋肉に対してレジスタンス負荷をかける頻度・間隔には十分に留意してトレーニングプログラムを組み立てる必要があります。

骨格筋の超回復期間には、それぞれ固有の回復時間があり、それは年齢や性別によって左右されますが、20~30代男性の場合、おおよそ以下のようになります。

筋肉部位ごとの超回復期間

・大胸筋:48時間
・三角筋:48時間
・上腕三頭筋:48時間
・僧帽筋:48時間
・広背筋:72時間
・上腕二頭筋:48時間
・腹筋群:24時間
・脊柱起立筋:72時間
・大臀筋:48時間
・大腿四頭筋:72時間
・ハムストリングス:72時間
・前腕筋群:24時間
・下腿三頭筋:24時間

なお、加齢とともに超回復期間は最大2倍程度まで長くなります。また、女性は男性に比べると筋肉合成に関わるホルモン分泌量が少ないため、男性よりも超回復期間が長くなる傾向にあります。

このような、超回復理論にのっとり効率的に全身をトレーニングしていくためには、全身の筋肉を連動性によっていくつかのグループに分け、ローテーションで鍛えていく「部位分割法|スプリットトレーニング」が最適です。その具体的なローテーションの組み方は以下の通りです。

部位分割トレーニング

筋力トレーニングの効率を上げるためには、一度に全身の筋肉全てを鍛えるのではなく、筋肉部位を2~4グループに分け、1日に1グループずつ一週間で2~4回の分割トレーニングを行うことが有効です。

週2回のトレーニングの場合

①上半身・下半身の押す動作の筋肉
②上半身・下半身の引く動作の筋肉

具体的なトレーニングメニューは下記の記事に記載しています。

▼具体的な週2回トレーニングメニュー

週2回の部位分割トレーニング

週3回のトレーニングの場合

①上半身の押す動作の筋肉
②下半身の筋肉
③上半身の引く動作の筋肉

具体的なトレーニングメニューは下記の記事に記載しています。

▼具体的な週3回トレーニングメニュー

週3回の部位分割トレーニング

週4回のトレーニングの場合

①上半身の押す動作の筋肉
②下半身の押す動作の筋肉
③上半身の引く動作の筋肉
④下半身の引く動作の筋肉

具体的なトレーニングメニューは下記の記事に記載しています。

▼具体的な週4回トレーニングメニュー

厚生労働省による超回復とトレーニング頻度に関する記載

筋肉には疲労からの回復の時間が必要です。レジスタンス運動は標的の筋肉に負荷を集中する運動ですから、その筋肉に十分な回復期間としてトレーニング間隔をあける必要があります。毎日行うのではなく、2-3日に一回程度、週あたり2-3回行うくらいの運動頻度が推奨されます。

引用:https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/exercise/ys-058.html

筋肉はレジスタンス運動を行うと筋線維の一部が破断されます。それが修復される際にもとの筋線維よりも少し太い状態になります。これを「超回復」と呼び、これを繰り返すと筋の断面積が全体として太くなり筋力が上がります。筋力のトレーニングはこの仕組みを利用して最大筋力に近い負荷でレジスタンス運動し、筋が修復されるまで2~3日の休息ののち、またレジスタンス運動でトレーニングということの繰り返しによって行われます。

引用:https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/exercise/ys-092.html

具体的な週3回のスミスマシントレーニングプログラム例

週一回目:胸筋系の筋トレメニュー

スミスマシンベンチプレス:3セット

マシンチェストフライ:2セット

スミスマシンショルダープレス:2セット

スミスマシンナロープレス:2セット

スミスマシンアップライトロー:2セット

ケーブルプレスダウン:2セット

ケーブルクランチ:3セット

週二回目:下半身の筋トレメニュー

スミスマシンスクワット:3セット

ハックスクワット:2セット

マシンレッグエクステンション:3セット

マシンレッグカール:3セット

週三回目:背筋系の筋トレメニュー

スミスマシンデッドリフト:3セット

ケーブルラットプルダウン:2セット

ケーブルローイング:2セット

スミスマシングッドモーニング:2セット

マシンカール:2セット

ケーブルクランチ:2セット

⑤スミスマシントレーニングの具体的な実施方法

ここからは、筋肉部位別に具体的なマシントレーニング各種目の実施方法を解説していきます。

大胸筋のスミスマシントレーニング

スミスマシンベンチプレス(大胸筋全体)

スミスマシンベンチプレスは、フリーウエイトトレーニングに近い感覚でトレーニングでき、なおかつマシンレールが軌道のブレを支えてくれるので、使用者はウエイト負荷を押し上げることだけに専念できます。

反面、軌道が完全に固定され垂直直線運動しかできないため、セットアップのポジションがズレると、その負担は全て使用者の身体に返ってきてしまいます。

まずはシャフトだけで軌道確認を行ってからセットに取り組んでください。

なお、インクラインベンチを用いて斜め上方に押し出す軌道だと大胸筋上部に、デクラインベンチを用いて斜め下方に押し出す軌道だと大胸筋下部に負荷が加わります。

背筋群のスミスマシントレーニング

スミスマシンデッドリフト(背筋群)

スミスマシンデッドリフトは、フリーウエイトトレーニングに近い感覚でトレーニングを行える種目で、なおかつマシンレールが軌道のブレを支えてくれるので、使用者はフリーウエイトのデッドリフトよりも負荷を引き上げることに集中できます。

反面、軌道が完全に固定されているので、軌道のズレは全て使用者の身体に返ってきてしまいます。このため、使用者は事前にシャフトだけで軌道確認を行ってからセットを行ってください。

三角筋のスミスマシントレーニング

スミスマシンショルダープレス(三角筋全体)

スミスマシンショルダープレスは、フリーウエイトトレーニングに近い感覚でトレーニングを行える種目です。

マシンレールが軌道のブレを支えてくれるので、使用者はウエイト挙上に集中できるというメリットがあります。

反面、構えるポジションを間違えると、軌道のブレや歪みが全て使用者(特に肩関節)に返ってきますので、本セットの前に必ずシャフトだけで軌道確認をしてください。

スミスマシンアップライトロウ(三角筋低強度)

スミスマシンアップライトロウは、効かせるのが難しい三角筋マシントレーニングのなかでも、比較的簡単な種目です。

肘をグリップより先行させ、肩甲骨を寄せないように動作することがポイントです。

上腕三頭筋のスミスマシントレーニング

スミスマシンナロープレス(上腕三頭筋)

スミスマシンナロープレスは、高負荷を上腕三頭筋にかけられるトレーニングです。

肘を外に張り出すと上腕三頭筋短頭に、肘を閉じると上腕三頭筋長頭に負荷がかかります。

下半身のスミスマシントレーニング

スミスマシンスクワット(下半身全体)

スミスマシンスクワットは、フリーウエイトのバーベルスクワットに近い感覚でトレーニングでき、なおかつマシンレールが軌道のブレを支えてくれるので、使用者はウエイト挙上に集中できるメリットがあります。

反面、垂直直線運動に限定されますので、構える位置が悪いと軌道のブレや歪みが全て使用者に返ってきてしまいます。

本種目の場合、特に膝関節の逃げ場がなくなりますので、やや足を前に置き、少しマシンにもたれるように構えることを推奨します。

▼詳細記事

https://www.sfphes.org/2019/08/machinemenu.html

スミスマシンベンチプレスの筋肥大セットの組み方

アップとしてスミスマシンベンチプレスを2~3セット

まずは、ノーマルのフラットベンチスミスマシンベンチプレスで大胸筋全体に効かせます。

追い込みとしてデクラインスミスマシンベンチプレスを2~3セット

次に、大胸筋下部を中心とした追い込みトレーニングとしてデクラインスミスマシンベンチプレスを行います。

仕上げとしてインクラインスミスマシンベンチプレスを1~2セット

さらに、大胸筋上部に負荷のかかるインクラインスミスマシンベンチプレスで仕上げます。

組み合わせでスミスマシンナローベンチプレス

ノーマルの手幅で行う各種スミスマシンベンチプレスでは、大胸筋内側に負荷がかかりにくいため、あわせてスミスマシンナローグリップベンチプレスを実施することが推奨されます。

スミスマシンデッドリフトの筋肥大セットの組み方

アップとしてスミスマシンデッドリフトを2~3セット

まずは、ノーマルの足幅の狭いヨーロピアンスタイルのスミスマシンデッドリフトを行い、背筋群全体に効かせます。

追い込みとしてスミスマシンベントオーバーローを2~3セット

次に、スミスマシンベントオーバーローで広背筋側部の追い込みトレーニングを行います。

仕上げとしてスミスマシンショルダーシュラッグを1~2セット

そして、スミスマシンショルダーシュラッグで僧帽筋を仕上げます。

なお、スミスマシンショルダーシュラッグはバーベルショルダーシュラッグと違い、身体の後ろ側でシャフトをグリップして行うのが一般的なやり方です。

組み合わせでケーブルラットプルダウン

スミスマシンを使った背筋トレーニングでは、どうしても広背筋側部に強い負荷がかけられないので、広背筋側部に集中的な負荷がかかるラットプルダウンを組み合わせることが推奨されます。

スミスマシンスクワットの筋肥大セットの組み方

アップとしてスミスマシンスクワットを2~3セット

まずは、ノーマルのスミスマシンスクワットで下半身の筋肉全体に効かせていきます。

追い込みとしてスミスマシンワイドスクワットを1~2セット

次に、ワイドスタンススミスマシンスクワットで太ももの外側および内側に効かせていきます。

仕上げとしてスミスマシンフロントランジを1~2セット

そして、スミスマシンフロントランジで臀筋群からハムストリングスにかけての下半身背面側を仕上げます。

組み合わせでレッグカール

スミスマシンスクワットは、臀筋群からハムストリングスにかけての下半身背面側にはあまり強い負荷がかけられないので、ハムストリングスに集中的な負荷がかかるマシンレッグカールをあわせて行うことが推奨されます。

スミスマシンベンチプレスの女性向きのやり方

スミスマシンベンチプレスは、肩甲骨をしっかりと寄せた状態を保ったまま動作を行うことが大切で、肩甲骨の寄せ方が不十分だと大胸筋ではなく三角筋にばかり負荷がかかってしまうので注意してください。

インクラインスミスマシンベンチプレス

斜め上方に腕を押し出す軌道で行うバリエーションで、大胸筋上部に集中的な負荷がかかります。

デクラインスミスマシンベンチプレス

斜め下方に腕を押し出す軌道で行うバリエーションで、大胸筋下部に集中的な負荷がかかります。

スミスマシンナローベンチプレス

通常よりも狭い手幅で行うバリエーションで、大胸筋内側と上腕三頭筋に負荷がかかります。

スミスマシンデッドリフトの女性向きのやり方

スミスマシンデッドリフトは、背中を丸めずに動作することが大切で、背中が丸まった状態で挙上動作を行うと腰に負担がかかりますので注意してください。

なお、背中を丸めないめには、胸を張りやや上方に目線を向けることがポイントになります。

スミスマシンワイドデッドリフト

大きく足を開いて行うバリエーションで、下半身の筋肉にも負荷がかかります。

スミスマシンスティッフレッグドデッドリフト

膝を伸ばしたまま行うバリエーションで、臀筋群からハムストリングスにかけて負荷がかかります。

なお、本種目は重量にこだわらず、できるだけしっかりと筋肉にストレッチをかけることを重視してください。

スミスマシンスクワットの女性向きのやり方

スミスマシンスクワットは、背中が丸まらないようにするとともに、膝がつま先より前に出ないようにすることが大切です。

背中が丸くならないフォームのためには、背すじを伸ばし、やや上方に目線を向けることがポイントです。

また、膝がつま先よりも前に出ると膝関節に負担がかかりますので、軌道が一直線であるスミスマシンの特性上、足をやや前に置くようにすることが推奨されます。

スミスマシンワイドスクワット

足幅を大きく開けて構えるバリエーションで、太もも外側と内転筋群(太もも内側)に負荷がかかります。

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