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飛べない鳥一覧・種類図鑑|日本・ニュージーランド・アフリカなど世界の代表種を解説


日本・ニュージーランド・アフリカをはじめ世界中の飛べない鳥の代表種を博物館学芸員の筆者がご紹介します。

飛べない鳥とは



飛べない鳥とは、飛ぶかわりに走る能力または泳ぐ能力を特化・進化させた鳥たちで、さまざまな分類グループにそれぞれ飛べない鳥が含まれています。

飛べない鳥には大きく2つの共通の特徴があります。

①羽の骨が飛べる鳥よりも小さい(物理的に浮力を得られない)

②胸骨の竜骨突起が退化している(羽ばたく筋肉がつけられない)

それでは、次の項目からは世界の有名な飛べない鳥を順番にご紹介していきます。

ダチョウ

走鳥類(アフリカ)

学名:Struthio camelus
英名:Common ostrich

ダチョウはアフリカ大陸のサバンナに広く分布している「現生鳥類最大」の種類で、大きなオスでは体高230cm・体重135kgにもなります。

また、その卵は「世界最大の細胞」としても知られています。

サバンナの環境に適応し、走ることに特化したため飛ぶことができなくなったと考えられています。

現生のダチョウには下記の亜種があります。

キタアフリカダチョウ|Struthio camelus camelus

ミナミアフリカダチョウ|Struthio camelus australis

マサイダチョウ|Struthio camelus massaicus

そして、中東地域にもかつては亜種がいましたが、1960年代に絶滅してしまいました。

アラビアダチョウ|Struthio camelus syriacus(絶滅種)

エミュー

走鳥類(オーストラリア)

学名:Dromaius novaehollandiae
英名:Emu

エミューはオーストラリア大陸の草原に広く分布しており、ダチョウと同様に走ることに特化して飛べなくなったと考えられており、オーストラリア版のダチョウとも言えます。

体高1.6~2.0m・体重40kg~60kgと世界で二番目に背が高く、世界で三番目に重い鳥です(体重の2位はヒクイドリ|後述)。

ヒクイドリ

走鳥類(オーストラリア・パプアニューギニア)

学名:Casuarius casuarius
英名:Cassowary

ヒクイドリはオーストラリア北部とパプアニューギニアの熱帯雨林に分布しています。

全高190cm・体重85kgにもなる大型種で、体重では世界で二番目に重い鳥です。

走ることに特化して進化した鳥で、時速50mものスピードで走ることができます。また、その足には10cmを超える3本の鋭い爪があり、時に大型動物も殺傷するほど危険です。

キーウィ

走鳥類(ニュージーランド)

学名:Apterygiformes Apterygidae
英名:Kiwi

キーウィはニュージーランドに分布する飛べない鳥で、地域により以下の亜種に分けられています。

ミナミチャイロキーウィ|Apteryx australis|Southern brown kiwi

オオマダラキーウィ|Apteryx haastii|Great spotted kiwi

キタチャイロキーウィ|Apteryx mantelli|North Island brown kiwi

コマダラキーウィ|Apteryx owenii|Little spotted kiwi

オカリトキーウィ|Apteryx rowi|Okarito kiwi

森林や藪地に生息しており、地面の昆虫やミミズなどを捕食しています。ニュージーランド特有の生態系(天敵があまりいない)に起因し、飛ぶ必要がなくなったと考えられています。

しかし、それが災いし、人間によって持ち込まれたイヌやネコなどの捕食圧により大きく生息数を減らしています。

レア

走鳥類(南米)


レアはブラジルを中心に南米大陸に広く分布しています。

全高1.2~1.5m・体重20~25kgと世界でも屈指の大型鳥類(世界四番目)で、南米のダチョウと言ってもよいでしょう。

本種は草原や荒地に生息しており、走ることに特化して飛ぶことが必要なくなったと考えられています。

オス1頭に対してメス2から10頭のハーレムを作る、鳥としては珍しい繁殖生態を持っています。

ガラパゴスコバネウ

カツオドリ目(エクアドル)

学名:Phalacrocorax harrisi
英名:Galapagos cormorant

ガラパゴスコバネウは生物が独自の進化を遂げたことで知られるガラパゴス諸島に分布するウミウの一種です。

泳ぐことに特化したため飛べなくなったと考えられています。


写真は羽を広げた状態の本種ですが、翼が退化して非常に小さいことがお分かりいただけると思います。


翼は泳ぐためには必要なく、むしろ抵抗になってしまいます。翼を小さくする進化をした本種は、魚顔負けの速度で水中を自由自在に泳ぐことが可能です。

ペンギン

ペンギン目(南極など)


ペンギンの仲間は南極を中心として南半球の高緯度地域に分布する水鳥のグループで、全18種が知られています。


泳ぐことに特化したため翼は小さくなり、そのかわりに非常に高い遊泳能力を手に入れました。

画像引用:http://www.peppermintnarwhal.com/

ペンギンには、最大種のコウテイペンギンから最小種のハネジロペンギンで全部で18種が現生しています。それは、大きい順に以下のとおりです。

①エンペラーペンギン(コウテイペンギン)
②キングペンギン(オウサマペンギン)
③キガシラペンギン
④ジェンツーペンギン
⑤ヒゲペンギン
⑥ロイヤルペンギン
⑦マカロニペンギン
⑧シュレターペンギン
⑨マゼランペンギン
⑩ケープペンギン
⑪アデリーペンギン
⑫フンボルトペンギン
⑬スネアーズペンギン
⑭フィヨルフドランドペンギン(キマユペンギン)
⑮イワトビペンギン
⑯ガラパゴスペンギン
⑰コガタペンギン(フェアリーペンギン)
⑱ハネジロペンギン

さらに詳しいペンギンに関する解説は下記の記事をご参照ください。

▼詳細記事

ペンギン写真図鑑(18種類+絶滅種)|生物学学芸員が大きさ比較もイラストつきで解説

ヤンバルクイナ

ツル目(日本)

学名:Hypotaenidia okinawae
英名:Okinawa rail

ヤンバルクイナは沖縄本島北部の雨林地帯に生息しています。本来、沖縄本島には天敵となる肉食獣がいなかったので、飛ぶことをやめ地上生活に特化したしたと考えられています。


地元の人の間では昔から、沖縄本島北部に「そこにしかいないキジがいる」と噂されていましたが、正式に確認されたのは1981年になってからでした。

本種は雨林地帯で小動物・昆虫・木の実など雑食をして生活していることが判明しています。

本土から持ち込まれたイヌやネコの野生化したものの捕食圧などにより絶滅の危機に瀕しています。

なお、飛べないクイナの仲間は世界で全12種が確認されており、それは以下のとおりです。

ウッドフォードクイナ
ニュージーランドクイナ
ニューカレドニアクイナ
ロードハウクイナ
ニューブリテンクイナ
グアムクイナ
セレベスクイナ
マメクロクイナ
ヘンダーソンクイナ
ハルマヘラクイナ
ヤンバルクイナ
タカヘ

タスマニアバン

ツル目(オーストラリア)

学名:Gallinula mortierii
英名:Tasmanian Native-hen

タスマニアバンは天敵の少ないタスマニア島で泳ぐことに特化して飛べなくなった水鳥の一種です。

バンの仲間にはこのほかに、以下の飛べなくなった種類がいます。

サモアオグロバン
サンクリストバルオグロバン
トリスタンバン
タスマニアバン
オニオオバン

オオウミガラス(1844年絶滅)

チドリ目(北極圏)

学名:Pinguinus impennis
英名:Great Auk

オオウミガラスは1844年まで北極圏に生息していた水鳥の一種で、ペンギンと同様に泳ぐことに特化して飛べなくなった鳥でした。外見もペンギンに似ているため、「北半球のペンギン」とも呼ばれていました。

肉や卵を食用にするための人間による捕獲圧で絶滅しました。

詳しくは、下記の記事をご参照ください。

▼詳細記事



北半球のペンギン「オオウミガラス」の特徴と生態再現イラスト集

なお、近い仲間としてエトピリカ(チドリ目)が現生しています。


エトピリカに関する詳細は、下記の記事をご参照ください。

▼詳細記事

【エトピリカのフリー画像写真集】ペンギンになれなかった極北の海鳥

ドードー(1590年絶滅)

ハト目(モーリシャス)

学名:Raphus cucullatus
英名:Dodo

ドードーはマダガスカルに近いマスカリン諸島に生息していた飛べない鳥で、天敵のいない環境で飛ぶ必要がなくなったと考えられています。

ヨーロッパ人が持ち込んだイヌによる卵食圧と、人間による捕獲圧により発見からわずか83年で絶滅してしまいました。

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