ゲンゴロウの家庭水槽(アクアテラリウム)での初心者向き飼い方を博物館学芸員の筆者が、長年の経験をもとに解説します。
ゲンゴロウとはどんな生き物?
ゲンゴロウ(竜蝨・源五郎、学名:Cybister chinensis Motschulsky,)は、コウチュウ目ゲンゴロウ科ゲンゴロウ亜科ゲンゴロウ属の水生昆虫。日本産のゲンゴロウ類・および水生甲虫類としては最大種である。日本本土各地(北海道・本州・四国・九州)・朝鮮半島・中華人民共和国・台湾・シベリア南部に分布する。
引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/ゲンゴロウ
ゲンゴロウの特徴と飼い方
適正水質:中性~弱酸性適正水温:0~28℃
餌の種類:冷凍赤虫・乾燥エビなど
繁殖:可能
混泳:可能
成虫の飼い方
ゲンゴロウは里山の幅広い水深(用水路からため池まで)に適応して生息しています。ただし、陸上で日光浴(体の乾燥)が必要なため、飼育下でも陸場のあるアクアテラリウムで管理します。餌は冷凍赤虫や乾燥エビなど、節足動物餌料がキチン質を含んでおり適切です。
本種は肉食ですが、基本的には屍肉食のため他種を襲って食べることはあまりなく、他の水生昆虫や魚類と混泳も可能です。
ゲンゴロウ類の雌雄判別
繁殖のためには雌雄を見分けてペアを作る必要がありますが、ゲンゴロウ類の雌雄は前肢の形状で簡単に見分けることができます。
オスの前肢はメスに掴まりやすいよう、上図のように吸盤状になっています。
ゲンゴロウ類の産卵植物
産卵が行われると、茎が膨らみ卵が透けて見えるので、その部分を切り取って、茎ごと幼虫飼育用のカップなどに移して孵化を待ちます。
ゲンゴロウ類の幼虫飼育
ゲンゴロウ類の幼虫は極めて獰猛な肉食であり、動くものには反射的に噛みつくため、カップなどで必ず個別飼育します。
餌は、若齢幼虫には生きた赤虫、成長した幼虫には餌メダカを与えます。
※遺伝子のかく乱を避けるため、入手した生物は野外へは放流せずに必ず最後まで飼いきるようにしてください。
※日本産生物は種類・地域により保護されている場合がありますので、野外採集はせずブリード個体を入手してください。
学名:Cybister brevis
ゲンゴロウの蛹化について
ゲンゴロウ類は、幼虫も成虫も水の中で暮らしますが、サナギだけは水辺の土中で蛹化します。
ですので、十分に成虫し餌を食べなくなった終齢幼虫は上図のような赤玉土+砂+ピートモスで作った上陸・蛹化用のプラケースに移しまします。
幼虫が土に潜って蛹化してから、およそ一ヶ月程で羽化して成虫としてあらわれます。
※遺伝子のかく乱を避けるため、入手した生物は野外へは放流せずに必ず最後まで飼いきるようにしてください。
※日本産生物は種類・地域により保護されている場合がありますので、野外採集はせずブリード個体を入手してください。
飼育に適したゲンゴロウ類一覧
コガタノゲンゴロウ
学名:Cybister tripunctatus lateralis
コガタノゲンゴロウはゲンゴロウよりも一回り小さなCybister属ゲンゴロウで、四国や九州で見ることができます。
飼育方法はゲンゴロウとほぼ同じです。
クロゲンゴロウ
学名:Cybister brevis
ゲンゴロウは身近でまだ見ることのできる大型(Cybister属)のゲンゴロウ類です。飼育方法はゲンゴロウに準じます。
アクアテラリウムとは
「アクアテラリウム」とは陸場と水場がある形式の水槽システムのことで、魚類以外の多くの水生昆虫・甲殻類・両生類・爬虫類を飼育する場合に必要になります。
アクアテラリウムでは、通常の水槽と違って水量が半分程度になりますので、あまり小さな30cmや45cmの水槽では水質が安定しません。やはり60cmクラス以上の水槽が必要でしょう。また、陸場を広くとるためには奥行き30cmタイプではなく45cmタイプをおすすめします。
詳しくは下記の関連記事で必要な機材から具体的な組み立て方まで解説していますのでご参照ください。
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日本産淡水魚・飼育種類図鑑
日本産淡水魚の家庭飼育向きの種類を厳選し解説しているのが下記の記事です。魚類飼育歴20年以上の博物館学芸員が執筆したものです。
日本の淡水魚・飼育種類図鑑|それぞれの特徴と家庭水槽での飼い方(水槽のセット方法)