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【フクロウナギ&フウセンウナギの生態・写真解説】博物館学芸員があごの大きさ・食べ物・繁殖などを説明

独特な形状をした深海魚として知られるフクロウナギとフウセンウナギについて、画像・写真・イラストを交えながら博物館学芸員の筆者が解説します。

フウセンウナギ目とは

フクロウナギとフウセンウナギはいずれも同じ分類グループであるフウセンウナギ目(Saccopharyngiformes)に属しています。

フウセンウナギ目には以下のグループが含まれます。

ヤバネウナギ科|Cyematidae 

イラスト:ヤバネウナギ(学名:Cyema atrum)

2属2種から構成される小型のフウセンウナギのグループで、最大でも15cm程度です。

もっとも原始的(進化の度合いが低い)なグループで、フウセンウナギやフクロウナギに比べると、まだ通常の魚類の形状を残しています。

フウセンウナギ科|Saccopharyngidae

イラスト:フウセンウナギ(学名:Saccopharynx ampullaceus)

フウセンウナギ属のみで構成され、11種がこれまでに確認されています。ヤバネウナギ科よりもさらに深海への進化が進んでおり、餌と遭遇する機会が少ない深海に適応し、大きさ餌でも飲み込めるように、大きく裂けた口と巨大な消化器を持っています。さらに尾に発光器官を持っています。詳しい生態はいまだ解明されていません。

フウセンウナギは三大海洋=大西洋・インド洋・太平洋の水深2000m~4000mの深度に生息しています。

フウセンウナギの映像

こちらは非常に珍しい、生きたフウセンウナギをとらえた映像です。ぜひ、ご覧ください。

フクロウナギ科|Eurypharyngidae

イラスト:フクロウナギ(学名:Eurypharynx pelecanoides)

フクロウナギ科はフクロウナギ1足1種のみで構成されます。フウセンウナギよりもさらに進化(特化)が進んだグループで、さらに巨大になった口でプランクトンを集めて餌にしています。

また尾部の先端には発光器官があり、これを使ってプランクトンを集めていると考えられています。

フクロウナギは三大海洋=大西洋・インド洋・太平洋の温帯〜熱帯海域の深度550~3000mの深海に生息しています。

フクロウナギの映像

こちらは、深海探査艇によって撮影された非常に珍しい、生きたフクロウナギの映像です。その大きな口をどのように使うかがよくわかる映像となっています。

タンガクウナギ科|Monognathidae

イラスト:タンガクウナギ(学名:Monognathus boehlkei )|画像引用https://paleontology.sakura.ne.jp/tangakuunagi.html

タンガクウナギはフクロウナギ目のなかでも最も深海に特化したグループで、これまでに1属15種が発見されています。いずれの種も2000m以上の超深海に生息し、詳しい生態はわかっていません。

上顎が退化して下顎しかないため「単顎ウナギ」と呼ばれています。上顎のほかに胸鰭も退化して消失しています。

フウセンウナギ目の繁殖


フウセンウナギ目はウナギ目に近縁な種で(かつてはウナギ目に分類されていた)、この仲間に共通である小さな浮遊卵を大量に産卵し、孵化した仔魚はレプトケファルス幼生(葉形幼生)を経て稚魚・成魚となります。

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