現生2種のパンダの特徴とこれまでに出現して絶滅していった化石種について、生物学の博物館学芸員である筆者が画像つきで解説します。
パンダとはどんな動物?
パンダは食肉目(ネコ目)に属する動物で、ジャイアントパンダ(クマ科)とレッサーパンダ(レッサーパンダ科)の2種類が現生しています。
ジャイアントパンダとは
ジャイアントパンダ(学名:Ailuropoda melanoleuca、中国語: 大熊猫)は、哺乳綱食肉目クマ科ジャイアントパンダ属に分類される食肉類。別名オオパンダ。中国を代表する動物だが、生息地は四川省の一部などと狭く中国全土に生息しているわけではない。食性の99 %を、タケ類やササ類の葉・幹・新芽(タケノコ)が占める。小型哺乳類・魚・昆虫等の小動物、果物を食べることもあり、他のクマ類と同様に肉食を含む雑食性の特徴も微少であるが残っている。
レッサーパンダとは
レッサーパンダ(Ailurus fulgens、中国語: 小熊貓)は、哺乳綱食肉目レッサーパンダ科レッサーパンダ属に分類される食肉類。本種のみでレッサーパンダ属を構成する。タケやタケノコを食べるが小型哺乳類、鳥類の卵、昆虫、動物の死骸、果実、地衣類なども食べる。
ジャイアントパンダとレッサーパンダはどのくらい近い仲間?
こちらは、パンダが属する食肉目(ネコ目)の系統樹です。
これによると、ジャイアントパンダ(クマ科)とレッサーパンダ科はそれほど近い仲間とは言えず、レッサーパンダはどちらかと言えばイタチ・スカンク・アライグマなどに近い動物であることがわかります。
ジャイアントパンダ属の種類
現生のジャイアントパンダはジャイアントパンダ属(Ailuropoda)に分類されていますが、本属には以下の種類がいます。
Ailuropoda microta|ピグミージャイアントパンダ・絶滅
ピグミージャイアントパンダは中国南部の石灰岩の洞窟で発見された化石種で、およそ200万年前に生息していたと考えられています。
本種は現生のジャイアントパンダに比べると小さく、体長は1mほど(ジャイアントパンダは1.5m)でした。現生種と同じく笹を主食にしていたと考えられています。
Ailuropoda minor|ドワーフパンダ・絶滅
ドワーフパンダもピグミーパンダ同様に小型の種類でした。笹を主食にしていたと考えられています。
Ailuropoda baconi|学名のみ・絶滅
本種は約5万年前の更新世後期に絶滅したパンダの祖先で、現生種よりも一回り以上大きな大型種であったと考えられています。
Ailuropoda melanoleuca qinlingensis|シンレイパンダ・亜種・現生
シンレイパンダは1960年に発見された現生ジャイアントパンダの亜種で、茶色の毛を持っているのが特徴です。本亜種の生息地は秦嶺(しんれい)山脈の標高1300〜3000mの地域に限定されています。
レッサーパンダ科の種類
Ailuridae|レッサーパンダ科
絶滅・Amphictis|アンフィクティス属
絶滅・Protursus|プロトゥルスス属
絶滅・Magerictis|マゲリクティス属
絶滅・Parailurus|パライルルス属
絶滅・Pristinailurus|プリスティナイルルス属
現生・Ailurus|レッサーパンダ属
絶滅・Actiocyon|アクティオキオン属
絶滅・Alopecocyon|アロペコキオン属
絶滅・Simocyon|シモキオン属