スナドリネコは、水に入って魚を獲る(漁をする)という変わった習性を持つネコ科動物で、動物園だけでなく水族館でも飼育展示されています。また、人気漫画「ぼのぼの」のキャラクターにもなっており、静かなブームを起こしています。その生物学的特徴を写真集として解説します。
■スナドリネコってどんな動物?
●東南アジアに分布する漁をするネコ
スナドリネコはネコ科ベンガルヤマネコ属のネコの一種で、東南アジアからインドにかけて分布するネコ科動物としては珍しく魚食性の動物です。
こちらがスナドリネコの分布域になります。東南アジア地域を中心として、中国南部およびインドの一部にも生息しています。
■スナドリネコの名前の由来
●「漁る=すなどる」から名称がつけられた
スナドリネコの名前の由来は、その魚を獲る習性から「漁をする猫」、つまり「漁る(すなどる)」という言葉になります。ですので、本種をあえて漢字で表記すると「漁り猫」となります。
■スナドリネコの形態・生態的特長
●水かきを持ち爪が収納できない湿地適応進化
スナドリネコはネコ科動物としては唯一水環境に適応した種類で、わずかながら指の間に水かきを持ち、爪が引っ込められないという形態的特長を持っています。家ネコよりもやや大型で、成長したオス個体では体長80cmを超えます。
泳ぎが上手く、両生類・甲殻類・魚類・貝などを主食とし、時に陸上でネズミ類まども捕食します。妊娠期間はおよそ二ヶ月で、野生の生息地では初夏が出産時期です。
■スナドリネコの性格
●人に慣れることはなく臆病で攻撃的
スナドリネコの性格はきわめて野生的で、非常に臆病(用心深く)かつ攻撃的な二面性をあわせ持っています。筆者も学芸員として本種に関わった経験がありますが、繁殖個体でも人に慣れることはほとんどなく、猛獣のような攻撃性が消えることがありません。