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オランウータンは、森の賢者とも呼ばれチンパンジー・ゴリラと並んで人間にもっとも近い生き物です。その種類・生態(分布・餌・寿命・繁殖など)について、生物学の博物館学芸員である筆者がフリー画像写真をまじえながら解説します。
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オランウータンは、東南アジアのスマトラ島とボルネオ島にのみ生息する類人猿で、ヒト科オランウータン属に属しています。
オランウータンってどんな動物?
東南アジアに生息するヒト科の生き物
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オランウータンは、東南アジアのスマトラ島とボルネオ島にのみ生息する類人猿で、ヒト科オランウータン属に属しています。
オランウータンとは、ヒト科オランウータン属(Pongo)に分類される構成種の総称である。 語源は、マレー語の「orang(人) hutan(森) = 森の人」である。アジアの熱帯のみに生息する。ヒト亜科とオランウータン亜科の分岐は約1,400万年前と推定されている。
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(食事中のメスオランウータン)
体重はオスが60~90kg、メスが50kg前後と人間とほぼ同程度の体格をしています。
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(食事中のオスオランウータン)
大きな違いは、陸上生活をするようになった人間に対し、オランウータンは樹上生活に特化して進化していきました。このため、脚に比べ腕が二倍の長さがあり、木から木へ飛び移って移動をしています。
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オスとメスの外見上の違いは大きさだけでなく、大人のオスは写真のように頬が大きく左右にせり出すように発達していることでも区別ができます。
オランウータンの種類
かつては1種3亜種に分けられていたオランウータンですが、最新の研究では以下のように3種に分類されています。
Pongoの3種
P. abelii|スマトラオランウータン
P. pygmaeus|ボルネオオランウータン
P. tapanuliensis|タパヌリオランウータン
オランウータンの分布
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スマトラオランウータン
ボルネオオランウータン
タパヌリオランウータン
オランウータンは東南アジアのスマトラ島とボルネオ島に分布しており、その分布域は上図のとおりです。
オランウータンの餌
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食性は雑食性ですが、植物食の傾向が強く、熱帯雨林の果実類を中心に食べて暮らしています。
オランウータンの生態
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また、野生下では単独生活または親子で暮らしており、人間のように群を作ることはありません。