エチゼンクラゲは世界最大の刺胞動物・クラゲ類として有名ですが、時に大量発生して日本海側の施設に多大な被害をあたえたりします。その大量発生メカニズムと近年盛んになりつつある食用利用についてご紹介します。アイスにもなるんですよ。
■エチゼンクラゲの分類と生態
エチゼンクラゲ(Nemopilema nomurai)は刺胞動物・クラゲ目ビゼンクラゲ科に属するクラゲで、刺胞動物・クラゲ類としては世界最大の種の一つです。その大きさは、傘直径2m、重さ150kgに達します。
こちらの動画をご覧ください。エチゼンクラゲの巨大さが一目瞭然です。
東シナ海~日本海にかけて分布しており、時に大量発生し日本海沿岸の漁網を破ったり、沿岸施設の排水口につまったりといった被害を与えることでも知られています。
エチゼンクラゲの生活史は、一般的なクラゲ類のそれと同様で、ポリプ期・エフィラ幼生期を経て成体になります。
エチゼンクラゲは動物プランクトンが主食で魚を補食することはありません。このため、アジなどの小魚がエチゼンクラゲを隠れ家として利用するケースも観察されています。
■エチゼンクラゲの大量発生メカニズムと食用利用
エチゼンクラゲの大量発生のメカニズムとして有力な説が、産卵海域である中国・黄海周辺の工業開発による海水の富栄養化と、それにともなう餌生物の動物プランクトンの大量発生です。
大量発生時には巨大化したエチゼンクラゲが日本海沿岸に流れ着き、その除去に多額の予算がかかってしまいます。近年は、除去したエチゼンクラゲの食用利用も盛んになりつつあり、主に中華クラゲの材料として再利用されています。
■エチゼンクラゲの中華クラゲ
エチゼンクラゲの食用利用として最も盛んなのが中華クラゲの原材料としてです。
エチゼンクラゲの属するビゼンクラゲ科は、癖のない味とプリプリコリコリした食感に高級感があり、日本でも古くから食用利用の歴史があります。これらは、1kg数千円の高級食材として流通しているほどです。ただし、エチゼンクラゲ自体の食用利用の歴史はありませんでしたが、近年ではその加工も盛んになりつつあります。
■エチゼンクラゲのアイスクリーム
近年、話題になっているのがエチゼンクラゲのプリプリとした食感を利用したアイスクリームです。
国内では、京都府宮津市の「丹後魚っ知館」や山形県鶴岡市の「加茂水族館」などの水族館施設で食べることが可能です。