アリを食べる奇妙な習性を持つアリクイの仲間(種類)を写真集形式でご紹介します。あわせて、それぞれの特徴や気になる情報(爪や舌の長さ・威嚇のポーズ)などについても、生物学学芸員の筆者が解説していきます。
アリクイの種類って?
オオアリクイ・ミナミコアリクイ・キタコアリクイ・ヒメアリクイ
アリクイとは、アリクイ亜目に含まれる種類の総称でオオアリクイ科(オオアリクイ・キタコアリクイ・ミナミコアリクイ)とヒメアリクイ科(ヒメアリクイ)の4種のことを指します。
アリやシロアリを食べることからアリクイ、英語でもアントイーター(anteater)と呼ぶ。分類群の学名 (Vermilingua)は「蠕虫状の舌」を意味し、まれに「虫舌亜目」とも訳されるが、もっぱら「アリクイ亜目」と意訳される。ただし、分類体系によっては下目にもなる。引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/アリクイ
なお、最新の調査研究ではヒメアリクイ科に6種が追加され計7種(アリクイ亜目としては計10種)になるともされています。
これまでヒメアリクイは1種とされてきたが、少なくとも7種いることが明らかになった。(PHOTOGRAPH COURTESY KARINA MOLINA, ALEXANDRE MARTINS AND FLÁVIA MIRANDA)引用:https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/17/121300485/
オオアリクイの特徴
学名:Myrmecophaga tridactyla
英名:Giant anteater
アリクイは南米に分布している動物で、こちらのオオアリクイが有名です。
舌の長さは約60cm
オオアリクイは、南アメリカ大陸北部に広く分布し、草原〜熱帯雨林まで幅広い環境に適応しています。
主にアリとシロアリを餌とし、屈強な前爪を使って巣を掘り起こし、紐のようになった長い舌(長さ約60cm)をアリの巣に差し込み、アリを絡めとって餌にしています。
なお、野生の個体は一日に3万匹ものアリを食べることが知られています。
オオアリクイの動画
こちらはオオアリクイの生態をとらえたナショナルジオグラフィックの公式動画です。
非常に高品質な映像ですので、是非ご覧下さい。
ミナミコアリクイの特徴
学名:Tamandua tetradactyla
英名:Southern tamandua
オオアリクイよりやや小型の種類が、こちらのミナミコアリクイです。
ミナミコアリクイは、南アメリカ〜カリブ海・トリニダード島にかけて生息しています。アリやシロアリのほかミツバチも餌にします。とても屈強な前爪を持ち、昆虫の巣を壊したり、身を守るために使います。
本種は有毛目アリクイ科コアリクイ属に分類されており、アリクイの仲間としては中型(全長70~130cm)です。
あまり生息域を問わず、ジャングルからサバンナまで広く分布し、群れを作らずに単独で生活し、アリ・シロアリ・ミツバチなどを餌にしています。性質は温和で、ペットとして飼育されるケースもあります。白と黒のツートンカラーの模様が、まるでレスリングウェアーのようだと人気の動物です。
オオアリクイに比べると、ずいぶん可愛らしい外見ですね。
威嚇のポーズ
ミナミコアリクイは天敵(ジャガーなど)に対して威嚇のポーズを取ることで知られています。
そのポーズは両手を高々と上げ、まるでバンザイのような格好で、その姿が可愛いと人気ですが、実際は非常に鋭く長い爪を持っていますので、相当な防御能力があります。
キタコアリクイの特徴
学名:Tamandua mexicana
英名:Northern tamandua
キタコアリクイは、メキシコ南部〜中央アメリカ、さらにアンデス山脈北部端までの熱帯および亜熱帯の森林に住んでいます。
外部的な特徴はミナミコアリクイに準じます。
ヒメアリクイの特徴
学名:Cyclopes didactylus
英名:Silky anteater
ヒメアリクイは別名ピグミーアリクイとして呼ばれる小型のアリクイです。
メキシコ南部〜中南米に分布しており、夜行性で完全な樹上性です。
フクロアリクイ(番外編)の特徴
学名:Myrmecobius fasciatus
英名:Banded anteater
オーストラリア大陸に生息しているフクロアリクイは、カンガルーなどと同じ有袋類の仲間でアリを食べて生活しています。
本物のアリクイの仲間ではありませんが、生態的地位(ニッチ)が同じだと、よく似た姿に進化するという「収斂進化(しゅうれんしんか)」の代表的な例の一つです。