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三重県総合博物館|MieMu(みえむ)を訪れたので、生物学学芸員でもある筆者が専門的な観点から、基本展示を中心とした展示内容、こども体験展示室、みえむショップ、三重の実物図鑑コーナーなどを詳しくご紹介します。あわせて、開館日・休館日、開館時間、観覧料金、アクセス、駐車場などの情報もご紹介します。
■三重県総合博物館|MieMUの沿革
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三重県総合博物館(Mie Prefectural Museum)は、三重県津市に所在する県立博物館で、その母体は「三重県立博物館」として1953年に開館しました。しかしながら、旧博物館の建物が耐震基準に満たないため、2007年より展示室を閉鎖することとなりました。その後、2014年に新しく建てられた博物館が開館し、現在の名称となっています。
■三重県総合博物館|MieMu基本展示室前
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三重県総合博物館|MieMU(みえむ)の玄関・入館料売り場は建物の二階にあり、そこからエスカレーターまたは階段で三階に上がったところが展示エリアのエントランスとなっています。
エントランスには、三重県ゆかりのミエゾウの全身修復骨格が設置されており、かなり目を引くとともに、これから入る展示室への期待を高めてくれます。また、展示室入り口横のベンチは、恐竜先生と記念写真を撮れるようになっています。
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それでは、まずはメインの基本展示室から順にご案内します。また、特定のコーナーをご覧になりたい方は、下記の目次リンクからジャンプすることも可能です。
■三重!みえ!MIE!
●画像と映像で直感的に三重県を紹介
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基本展示室のエントランスでもある「三重!みえ!MIE!」コーナーでは、複数の液晶モニターと写真パネルにより、三重県の自然・文化などが視覚的・直感的に表現されています。
写真も映像も非常にクオリティーが高く美しかったです。
■三重の大地のなりたち
●化石とレプリカ中心の展示内容
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基本展示室のスタートコーナーは「三重の大地のなりたち」です。このコーナーでは、アケボノゾウ(日本で独自進化した象の一種)、パレオパラドキシア(束柱目の絶滅哺乳類)、トバリュウ(三重県鳥羽市で発見された恐竜)の化石やレプリカを中心に、地質学的観点から三重県の成り立ちを紹介しています。
恐竜好きの子供たちにも人気のコーナーです。
■大杉谷と大台ケ原
●日本屈指の多雨地帯の湿潤な自然環境
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こちらのコーナーでは、日本屈指の多雨地帯である大杉谷~大台ケ原にかけての湿潤な自然環境が、剥製類を駆使して再現されています。また、この地域に豊富なコケ類のアクリル封入標本も非常に見ごたえがありました。
■東紀州の山村
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このコーナーでは、東紀州の山村の暮らしが紹介されています。山仕事で使う道具、日常的な食べ物・保存食などが実物展示で紹介されるとともに、地域の方へのインタビュー動画も放映されています。
■伊賀盆地の農村
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このコーナーでは、伊賀盆地の農村の暮らしが紹介されています。田んぼ・畑仕事で使う道具、特産品の一つである「マツタケ料理」が紹介されるとともに、地域の方へのインタビュー動画も放映されています。
■鈴鹿山脈
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このコーナーでは、三重県の山岳地帯である鈴鹿山脈が、御在所岳の山頂を再現した巨大なジオラマで紹介されています。ジオラマには、カモシカ、アナグマ、ウサギなどの剥製が駆使され、非常にリアルで見ごたえがあります。
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動物相の解説以外にも、御在所岳に自生するツツジの種類紹介、石灰岩地層に自生するシダ類の展示など植物相に関する展示も充実しています。
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また、石灰地質の鈴鹿山脈に多く見られる鍾乳洞と、そこに生息する動物の解説展示などもあります。
■伊勢平野の農村
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こちらのコーナーでは、伊勢平野の農村の暮らしが紹介されています。田んぼ・畑仕事で使う道具が紹介されるとともに、地域の方へのインタビュー動画も放映されています。
■伊勢湾
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こちらのコーナーでは、豊かな遠浅の海である伊勢湾の自然が紹介されています。潮の満ち引きの影響を受ける干潟に暮らす生き物の展示も充実しており、とくに同じ場所の満潮時と干潮時の様子を再現したジオラマは、非常によくできた作りになっています。
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また、伊勢湾のシンボルでもあるミニクジラ・スナメリや干潟の水鳥たちに関する展示解説も非常に充実しています。
■志摩・東紀州の漁村
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こちらのコーナーでは、志摩・東紀州の漁村の暮らしの様子が紹介されています。また、この地域独特の文化でもある「海女さん」へのインタビュー動画なども放映されています。
■熊野灘と東紀州
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こちらのコーナーでは、東紀州の面する国内屈指の漁場でもある熊野灘の魚類層に関する展示解説が行われています。マイワシの群雄を再現したジオラマは、非常に迫力があるダイナミックな展示です。
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また、熊野灘の魚類や深海の生物が、魚類剥製、各種標本を用いて展示解説されており、こちらも非常に充実した内容です。
■三重をめぐる人・モノ・文化の交流史
●三重県各地域の風土や歴史を展示解説
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基本展示室の最後を飾るコーナーは「三重をめぐる人・モノ・文化の交流史」です。どちらかと言えば、生物学的観点からの展示が強い印象のある三重県総合博物館ですが、文化的展示もなかなか充実しています。
このコーナーでは、三重県と海外の交流の歴史にはじまり、国内での関西や関東との交流文化・歴史に関する展示解説が、実物の資料とともに紹介されています。
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このような感じで、非常に詳細にかつ理解しやすく展示が行われています。
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伊勢神宮周辺のかつての様子を再現した精巧なジオラマなども一見の価値ありです。
■企画展示室
●随時期間展示が行われいつ来ても楽しめる
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三重県総合博物館において、基本展示室と対となって中核をなすエリアが企画展示室です。時期により展示内容が随時更新されており、いつMieMUを訪れても、新たな学び・楽しみが見つかります。
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今回訪れたときは、三重県の交通と乗り物に関する展示が行われていました。規模としては、基本展示室とほぼ同等の敷地面積、展示内容があり、一般的な博物館の企画展示よりも遥かに優れた規模・内容です。
何度も来館者が訪れられるようなコンセプトの博物館ですね。
■こども体験展示室
●無料コーナーながらアスレチックもあり非常に充実
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こども体験展示室は、基本展示室・企画展示室に併設される形の施設ですが、このコーナーは無料で利用可能です。
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こども体験展示室は、無料施設とは思えないほど充実しており、そのメインとなるのは大型の室内アスレチックです。このアスレチックは、ただ遊ぶだけでなく、随所に三重県の自然・生物に関する仕掛けが組み込まれており、子供たちが遊びながら、自然と三重県のことに興味を持つように作られています。
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また、アスレチック以外にも、子供たちが遊びのなかで三重県の生物・自然・文化に興味がわくような工夫が随所に見られます。
■みえむショップ
●お土産のほか軽食・飲料もある
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三重県総合博物館の館内売店であるMieMUショップでは、各種のお土産、博物館関連商品のほか、ジュースやパン・サンドイッチなど軽食も販売されています。
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また、みえむショップの横には無料の休憩所・飲食コーナーも併設されています。同コーナーの横には、旧三重県立博物館からのアイドルであるオオサンショウウオの「さんちゃん」も展示されています。
もう何十年も飼育展示されているので、とても人なれしており、ガラスの目前まで寄ってきてアクビなどを披露してくれます。可愛いですよ。
■三重の実物図鑑
●三重県内の生物標本が展示されている
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最後にご紹介する施設が三重の実物図鑑コーナです。こちらのコーナーは無料で利用でき、室内には三重県で採集された各種の生物標本が展示されています。
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このような感じで、非常に製作工程や保存状態のよい各種標本類が展示されており、生物学に興味のある方なら、本コーナーを見るだけでも、かなり満足できると感じます。
■開館日・開館時間・料金・アクセス
●三重県総合博物館|MieMu(みえむ)の施設情報
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●三重県総合博物館|MieMu(みえむ)の住所
〒514-0061 三重県津市一身田上津部田3060【三重県総合博物館グーグルマップ】
●三重県総合博物館|MieMu(みえむ)の電話番号
059-228-2283●三重県総合博物館|MieMu(みえむ)の休館日
毎週月曜日(祝日の場合はその翌日)年末年始(12月29日~1月3日)
別途定める日(特別休館日:くん蒸など)
●三重県総合博物館|MieMu(みえむ)の開館時間
【火~~金】:9:00~17:00【土・日・祝】:9:00~19:00
※展示室への入室は、各日の閉場時間30分前まで
●三重県総合博物館|MieMu(みえむ)の料金
基本展示:一般¥510/学生¥300/高校生以下:無料企画展示:一般¥400/学生¥240/高校生以下:無料
年間パスポート:一般¥1640/学生¥1020/高校生以下:無料
●三重県総合博物館|MieMu(みえむ)のアクセス
【公共交通機関】・津駅(近鉄名古屋線、JR紀勢本線、伊勢鉄道)西口下車、バス五分
・89系統:総合文化センター行き 「総合文化センター」下車すぐ
・89系統:夢が丘団地行き 「総合文化センター前」下車すぐ
【自家用車】
・伊勢自動車道「芸濃IC」から約15分
・伊勢自動車道 「津IC」から約10分